Kucci
僕の中の僕
2025年5月1日に“Kucci”が『ときめきEP』をリリース! タイトル曲「ときめき」は、彼女のメジャーデビュー曲であり、映画『女神降臨』主題歌です。マンガ版『女神降臨』を愛読していたというKucciは、改めて日本版映画の脚本を読み、主人公・麗奈の心情に寄り添う楽曲を書き下ろしました。
さて、今日のうたではそんな“Kucci”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。第2弾は、“五十嵐 悠 starring 綱 啓永”に楽曲提供した映画『女神降臨』の劇中歌セルフカバー「特別なんて」にまつわるお話です。自身のなかで“孤独”という言葉が、この歌のフックになった理由は…。また、今回も音声版がございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。
こんにちは、Kucciです!
第2回目は5月1日に配信リリース予定の『ときめきEP』に収録されている「特別なんて」についてお話ししたいと思います。
この曲は映画『女神降臨』の劇中歌として、五十嵐悠演じる綱啓永さんに初めて楽曲提供させていただいた曲です。
お話をいただいた時は本当に嬉しくて嬉しくて、大好きな作品の劇中歌まで担当させてもらえることに舞い上がりました。
今の私にどんな曲が書けるだろうか。
というかちゃんと映画に寄り添える曲を作れるのか、、、。
制作中すごくすごく悩み、もがきましたが、私にしか描けない唯一無二の曲を作りたいという一心で作りました。
私が脚本を読んで感じたこと、この曲に込めた想いを受け取ってもらえたら。
そしてあなたにとっても大切な曲になれたらとっても嬉しいです。
*僕の中の僕
作中のキャラクター・五十嵐悠は、麗奈の素直で真っ直ぐに夢を追いかける姿に恋心を抱きます。
それは、とっても一途な恋なんです。
私は、「麗奈の好きな人は自分ではない」とわかっていながらも、彼女の夢や生き方を尊重する悠の姿に、切なさだけでなく悠の強さをも感じました。
こんなに素敵に大切な人を想える悠の気持ちをちゃんと描きたい。
本当は伝えたいけれど胸の奥で抱えている本音のようなものを曲にしたい。
と強く思い、私の中でフックとなった言葉は「孤独」でした。
誰よりも近い存在である自分との関係について考えてみました。
私自身、孤独との付き合い方がまだ上手ではないから、悠はどんな風に孤独と向き合っているんだろうって想像したり。
悠の強さはきっと、自分自身と向き合う上での葛藤やもどかしさを乗り越えたからこそ生まれたものなのでは、と思い
<いつまでも僕は愛せない 鏡に映る自分でさえも>
<止まない雨に嘆く夜も 尊い記憶になるかな>
という歌詞を書きました。
本当は認めたくない自分の弱さを受け入れられるように。
苦しいな、寂しいなって時こそ自分の味方でいてあげられるように。
そんな祈りを込めて書いた歌詞です。
<心を捨てれば悲しみも知らない でもそれだけはダメなんだ>
これは私自身もすごく救われている歌詞で、この歌詞が生まれた日はなぜかやけに辛くて、悲しくて、すごく泣けた夜でした。
感情の嵐が過ぎ去ってから、「ああ、泣けるのはちゃんと心があるからなのかも」って、さっきまで辛かったはずなのに尊さを感じた瞬間があったんです。
私がこの言葉に救われたように「特別なんて」が作品に寄り添いつつ、物語を超えて誰かの心の痛みに寄り添えたらいいなって思います。
ひとりじゃないよって言われるよりも
私もひとりだよって言われたほうがひとりじゃないって感じるんです。
私はこれからも痛みとか本音みたいなものに寄り添い、前を向いて生きたいと思える曲を作っていきます。
最後まで読んでくれてありがとう。
<Kucci>
◆『ときめきEP』
2025年5月1日発売