家入レオ
引き裂かれそうな気持ちや矛盾ごと愛したい
2026年8月26日に“家入レオ”が9th Album『31』をリリースしました。今作には全12曲が収録。31歳の自分自身と向き合った本作には、迷いや弱さ、矛盾を抱えながらも今の自分を受け止め、その先へと歩みを進める姿、誰かと心を重ねる心地よさなど、一人の女性の現在地が多彩な楽曲群を通して描かれております。
今日のうたではそんな“家入レオ”による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、収録曲「 Adieu 」にまつわるお話です。30代を歩くなかでの実感。矛盾や本音と向き合いながら、選んだ覚悟とは…。
私があなたを騙してたと 本気で思っていたの?
あのキスも 肌の匂いも 欲しかったから あなたを見つめたの
立ってられないくらいリアルで 痛みによく似た甘さを
あなただけ愉しんだって 虚しいでしょう?
New Album『31』に収録した「Adieu」。
心に散らばったパズルのピースを似たような色や模様ごとに分ける。パズルのピースでできた小さな丘。そこから選んだ1ピースを、自分と同じ目線まで持ち上げ、今度はゆっくり観察する。指で形をなぞり、回転させ、絵柄の感じをよく見て、自分を抑えず、ジャッジしない。辛抱強くパズルのピースを見つめていると、自分の中の真実が見えてくる。「あぁ、私はあの時笑っていたけど悲しかったのか」「誤魔化していたけど、怒っていたのか」「諦めたふりして愛していたのか」。パズルのピースと向き合う時間は、自分の気持ちを知る時間。忙しない日々の落とし物を、そっと取りに戻る。
「Adieu」のVERSE1とPRE 1は、小さな丘からパズルのピースを拾い上げ、その断片が私の肌に触れた瞬間に綴れた歌詞だった。だけどその後。HOOK(サビ)で自分が歌いたいことを言葉にしてしまうことが怖かった。パソコン画面で点滅し続けるキャレットから目を背け、私はウィンドウを閉じた。
それは、私が今この瞬間30代を歩いている実感そのものだった。
結婚、出産、転職、と自分のアイデンティティを再構築したり、居場所を増やしたり、色んな正解があって、自分で選んだそれを正解にしていくことが大事。それは分かっていて、だけど選ぶ、と言うことは、他の可能性から降りることと同義語。ただ迷っているだけでは、選ばなかった、ことを、選んでしまうことにもなる。時間に急かされる。ちゃんと考えて怖くても誰かを傷付けても、自分の答えを生きたいと思った。安心が欲しい、不安な時にただ抱き止めてくれる何かが、場所が、人が欲しい。そう望むくせに、開きかけたドアの向こうの何も想像できない世界に、どうしようもなく惹かれてしまう自分がいる。そんな私の無意識を広げ汲み取ってくださったプロデューサーのRyosuke "Dr.R" Sakaiさんの偉大さ。
私は安心と冒険を同時にこなせる程器用ではないし、私の為に自分を変えようとしてしまう誰かを見たくない。
<怖いくらいでちょうどいい>が強がりに聞こえても、嘘をついて生きない。<Don't wanna live a lie>そういう生き方をするって、口で言うほど簡単じゃない。いつか代償を払う日がくるのかもしれない。それでも今は寂しさや不安に負けず、それを感じながら未知の世界へ出かけることを選ぶ。引き裂かれそうな気持ちや矛盾ごと愛したい、と歌っている歌。
<家入レオ>
◆紹介曲「 Adieu 」 作詞:Leo Ieiri・Ryosuke “Dr.R” Sakai・Yui Mugino 作曲:Leo Ieiri・Ryosuke “Dr.R” Sakai・Yui Mugino
◆9th Album『31』
2026年8月26日発売
<収録曲>
1. Overture (Log:31)
2. Echoes
3. We Could Be Something
4. Walk
5. Adieu
6. Rain Song
7. Remember
8. Too Late
9. Melt
10. Muse
11. Mirror (Edition 31)
12. Love In Me