僕と君とでは何が違う?
おんなじ生き物さ 分かってる
でもね、僕は何かに怯えている
みんなもそうならいいな
がむしゃらに生きて誰が笑う?
悲しみきるには早すぎる
いつも僕は自分に言い聞かせる
明日もあるしね。
「僕のこと」/Mrs. GREEN APPLE
まず、冒頭で投げかけられる<僕と君とでは何が違う?>という問い。どうして<僕>はそんなことを訊くのでしょうか。誰にどんな答えを求めているのでしょうか。おそらくこれは、単なる質問ではありません。だって<僕>はどうせみんな<おんなじ生き物>であり、大きな差なんてないはずだと、最初から頭では<分かってる>から。
だけど<おんなじ生き物>だからこそ怖いのです。自分だけが<何かに怯えて>いて、自分だけが“みんなとはぐれている”気がして、どこかで<おんなじ>じゃないことを恐れている。それゆえに「他のひとと何が違う? 違くないよね? みんなも同じであって」と自分自身の拭えない不安に語りかけ、向き合っているのだと思います。
そして<僕>が怯えている<何か>とはきっと“失敗”でしょう。勝ち負けも然り、他者の目にどう映るかということも然り。ただし<僕>には“失敗”に怯える弱さを知っている“強さ”があるんですよね。だからその<何か>に打ち勝つための言葉を、おまじないのように<いつも僕は自分に言い聞かせる>のです。誰が笑ったってがむしゃらに生きようよ、悲しみきって諦めんなよ、たとえ今日失敗したって<明日もあるしね。>と。
ああ なんて素敵な日だ
幸せと思える今日も
夢敗れ挫ける今日も
ああ 諦めず足宛いている
狭い広い世界で
奇跡を唄う
「僕のこと」/Mrs. GREEN APPLE
ああ なんて素敵な日だ
誰かを好きでいる今日も
頬濡らし眠れる今日も
ああ 嘆くにはほど遠い
狭い広い世界で
僕らは唄う
「僕のこと」/Mrs. GREEN APPLE
そんな戦う日々を、幸せと思える今日を、夢敗れ挫ける今日を、誰かを好きでいる今日を、頬濡らし眠れる今日を、丸ごと称賛し、包み込むのがこの曲のサビ。応援歌ですが、決して“頑張れ”というワードは使われません。ただただ、すべての今日を<素敵な日だ>と肯定してくれる。それだけでなぜか全心を支えられている気持ちになりませんか?
僕らは知っている
奇跡は死んでいる
努力も孤独も
報われないことがある
だけどね
それでもね
今日まで歩いてきた
日々を人は呼ぶ
それがね、軌跡だと
「僕のこと」/Mrs. GREEN APPLE
さらに、終盤では<奇跡は死んでいる>としても、<努力も孤独も 報われないことがある>としても、それよりも<今日まで歩いてきた>確かな<軌跡>の方がずっと大切なのだと、支えてくれた全心をまた明日へと押し出してくれるのです。勝ち負けが終わりじゃない。失敗が終わりじゃない。そう上向きな気持ちにさせてくれるのです。
僕と君とでは何が違う?
それぞれ見てきた景色がある
僕は僕として、いまを生きてゆく
とても愛しい事だ
「僕のこと」/Mrs. GREEN APPLE
だからこそ、このように幕を閉じてゆく歌。冒頭では<おんなじ>じゃないことを恐れていた<僕>が、ラストでは<それぞれ見てきた景色がある>と“違い”を愛おしく思い<僕は僕として、いまを生きてゆく>のだと胸を張って宣言しております。1曲の中での希望的な変化が伝わってきますね。
人生が上手くいかないときにも、頑張らなきゃいけないときにも、勝負の日の前にも、必ずその心の味方になってくれるのが、Mrs. GREEN APPLEの「僕のこと」です。是非、歌詞をじっくり噛み締めながら聴いてみてください…!
◆紹介曲「僕のこと」
作詞:大森元貴
作曲:大森元貴
◆ニューシングル「僕のこと」
2019年1月9日発売
初回限定盤 UPCH-89399 ¥1,700+税
通常盤 UPCH-80509 ¥1,200+税
<収録曲>
1. 僕のこと
2. 灯火
3. Folktale