2023年3月15日に“ヤングスキニー”が1stフルアルバム『歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた』をリリースしました。配信シングル「東京」「コインランドリー」「本当はね、」「好きじゃないよ」、これまで会場限定シングルに弾き語りデモが収録された「ごめんね、歌にして」「ヒモと愛」を含む全10曲を収録。インディーズ時代の楽曲から最新曲まで、ここまでの勢いを凝縮した代名詞となる1枚です。
さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“ヤングスキニー”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。その第2弾です。執筆はゴンザレス(Gt.)が担当!綴っていただいたのは、かやゆーとの共作曲「夜のままで」にまつわるお話。この楽曲の制作理由や制作過程、曲に込めたイメージを明かしてくださいました。さらに今回は音声版がございます(音声版のみのトークもあり…!)。ゴンザレス本人による朗読でもお楽しみください。
皆さん初めまして。ヤングスキニーのゴンザレス(Gt.)です。本楽曲のエッセイは私ゴンザレスが務めさせて頂きますのでどうぞよろしくお願いします。
お気づきの方も多いと思いますが、本楽曲「夜のままで」はかやゆー(Gt.&Vo.)とゴンザレス(Gt.)の共作となっております。この楽曲の制作理由や制作過程の話など面白く、タメになる内容をエッセイにしたいと思うのでぜひ、最後まで読んでください。
まずは、制作理由からその過程の話ですね。この楽曲は本来ヤングスキニー公式YouTubeチャンネルの企画『かやゆーの作った曲の中にメンバーが作った曲が混ざっててもばれないんじゃね?ヤンスキ新曲ダウト!!』という企画がきっかけで生まれたものです。タイトルの通り、かやゆーが作ってきた新曲の中に、ゴンザレスがかやゆーに寄せて作ってきた楽曲を入れ込み、他のメンバーは分かるのかという企画です。
基本的にメロは良いが歌詞が壊滅的という僕の楽曲、かやゆーからのご指摘の中、「味気ない」という楽曲だけ、かやゆーが「俺が少し直せば良い感じになりそう」と言ったことから題名が「夜のままで」に変わり、バンドアレンジが決定しました。
ある程度、僕の中でサウンドのイメージができていたので、自宅で制作してまずかやゆーに送ったところ、直後に珍しく彼から電話が来ました。「俺、なんかしたかな…」と不安になりつつも電話を取ると、バンドアレンジが良すぎてついつい電話してしまったとのことで本気で安心したことを今でも覚えています笑。
この楽曲に込めたイメージは、先ほど企画でかやゆーに寄せて制作した曲と記しましたが、企画を知らなくて楽曲だけを聴いても楽しめるように、しっかりとイメージを持たせて作りました。
この楽曲は、どこかの誰かが相手を想う夜をテーマに制作しました。お酒に頼ってしまう弱さと夜の寂しさを歌詞に投影しました。
Aメロでは暗く素朴な雰囲気を演出する歌詞と音楽ですが、Bメロでは<アルコールだけでは少しもの足りないよ 僕はそう言ってコンビニへ向かっていく>という歌詞にもある通り、主人公が外に出るんですよね。そのタイミングでシンセサイザーという楽器が登場して、夜空に浮かぶキラキラした星をイメージした音を奏でています。
このように主人公の背景描写に合わせて、音楽にも動きを出しているところがこの楽曲の一番注目してほしい部分かもしれません。サビからは、買ってきたお酒をアパートの家に帰り、開いている窓から外を眺めながら飲んでいるイメージです。主人公の思いが夜空の星と共に溢れるイメージで楽器隊も終盤に向けて盛り上がりを演出しました。そしてアウトロでは溢れきった思いと、空になったお酒を表すかのように、Aメロのように音が素朴に戻り、ずっとこの夜がループしているように見せています。
楽曲の冒頭、独特な音はギターの音を逆再生することで奏でています。楽曲をループさせることで分かりやすくなるのですが、この逆再生もアウトロ最後の<夜のままでいたらいいな>という主人公のつぶやきを叶えるかのように一度曲を聴き切った後、また巻き戻されて、何回も何回も同じ夜を繰り返しているという考え方もできるように制作しました。
制作過程から楽曲に込められた意味まで深く知れたのではないでしょうか。制作者の意図を知ってから曲を聴くのも、自分なりの考え方を見つけて曲を聴くのも面白いのでぜひたくさんの観点から楽しんでお聴きください。最後まで読んで頂き有難うございました。それではまたいつかの共作でお会いしましょう。
<ヤングスキニー・ゴンザレス(Gt.)>
◆1stフルアルバム『歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた』
2023年3月15日発売
<収録曲>
1. ヒモと愛
2. ゴミ人間、俺
3. 本当はね、
4. 美談
5. コインランドリー
6. 好きじゃないよ
7. 夜のままで
8. 東京
9. らしく
10. ごめんね、歌にして