想い出はいつもやさしい。或いは悲しい。

 2025年3月26日“MIMiNARI”が1st Full Album『freq.』をリリース。今作には、TVアニメ『彼女、お借りします』第2期ED曲「言えない feat. asmi」、TVアニメ『あやかしトライアングル』ED曲「厭わない feat. 富田美憂, 市ノ瀬加那」、TVアニメ『ひきこまり吸血姫の悶々』ED曲「眠れない feat.楠木ともり」をはじめ、新曲を含む全18曲、通常盤には、Bonus Trackを含む全20曲が収録されております。
 
 さて、今日のうたではそんな“MIMiNARI”による歌詞エッセイを2日連続でお届け!第2弾は収録曲「スペクトル feat. HACHI」にまつわるお話です。変わることのない“記憶”に揺らぎながらも、“成長”する少女の恋をどのように描いたのか…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。


 
どこかで聞いたことのある話。
身体の細胞は何年かで全て生まれ変わり、物質的には全くの別人になるという。
 
物事の感じ方もそうで。
小さい頃に苦手だったものが平気になったり、逆に舌が肥えて食べられなくなることだってある。
大汗を流しながらも新たな発見に感動した夏は、今はただ日差しを避けて空調の効いた場所を探すようになって、
雪合戦に走った冬は、今はただ転ばない様に歩くだけ。
 
一方で、記憶は一定性を保っていると思う。
記憶を遡れば、その当時の自分の背丈、目線、感じ方に還る事ができる。
季節の移り変わりは残酷だが、想い出はいつもやさしい。或いは悲しい。
いつもその時のまま。
 
時間軸に沿って感じ方が変わることを成長と呼ぶのだとしたら、
「スペクトル feat. HACHI」は“記憶”に揺らぎながらも
“成長”する少女の恋を切り取った作品です。
 
光や電波、音などの見えない成分。
それらを周波数ごとに青や赤などの色で可視化したものをスペクトルという。
その色合いを『四季』や『淡く幼い恋の中で感じる視界』『気持ちの浮き沈み』などに
見立てて物語が進んでいく。
 
盲目的な恋は何もかもが正しく思えて。
ちょっとやそっとの疑問符は見て見ぬふりをしてしまったり。
幼さに気付かないまま背伸びをし続けてしまったり。
それでも季節は残酷で、いつの間にか客観視できる様になって、糸を引いた強がりだけが残ったり。
 
何も分からなかったけど刺激に満ちた毎日から、良くも悪くも分かる様になってしまう過程。
そういう意味で、
成長ってポジティブな言葉だけど、どこか寂しさを帯びている。
改めて曲を聴きながら、そんなことを感じた。
 
要所要所で取り入れた中国語とアジアを感じる曲想は、この曲ならではの作風になったので、その辺りも楽しんでもらえたら嬉しいです。
 
<MIMiNARI nari , sham>


 
◆1st Full Album『freq.』
2025年3月26日発売