2021年6月16日に“SCANDAL”がニューシングル「アイボリー」をリリースしました。結成15周年のアニバーサリーイヤー真っ只中の彼女たち。今作は2021年の第2弾作品です。作詞作曲を担当したのはギターのMAMI。ミュージシャンの宗本康兵氏と共同アレンジし、制作。カップリングには同曲の弾き語りバージョンが収録されております。
さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“SCANDAL”のMAMIによる歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「アイボリー」のお話。世界が大きく変わり、自身の曲作りのモチベーションの矢印も変わってゆくなかで、どのようにこの曲が誕生したのか。今、いろんな感情に振り回されながらも、日々生きているあなたへ。この曲とエッセイが届きますように…!
~歌詞エッセイ:「アイボリー」~
世界が一瞬にしてステイホームになったあの日から、バンドを結成してから今まで続いていた生活のルーティーンが別物になり、正直どうやって生きていいのかわからなくなった。
ツアーで海外や日本全国をまわり、帰ってきたらレコーディングに取り掛かる。作る曲もライブを中心に考えてきたし、いかに体を動かせて声を出すことができるかが重要だったりもした。だから、制作や楽曲へのモチベーションの矢印が、どんどん変わっていって、その変化についていけずへこたれる日々も少なくなかった。
1回目の緊急事態宣言が終わってからは、ルールを守った上で無観客の配信ライブやライブ会場のキャパに対してだいぶ少ない人数だけど、ありがたいことに有観客でのライブもやらせてもらってすこーーーーーーしずつ曲やライブに対しての感覚を取り戻しつつあるような気でいた。
だけれど、やはり、なかなか思うように曲作りは進まない。音楽の神に何か粗相でもしたのかしらと思うほどに(きっとそんなことはないと思いたい)。
私たちの毎週水曜日はミーティングの日。そこで毎週聞かれる『曲、どんな感じ?』に、降参!と言いたかったけど、書きたい気持ちもあったから上手く答えられなくてスタッフ陣を困らせてたと思う。
そのミーティングが終わったある水曜の夜。お風呂に入りながらやり場のないもどかしさと向き合って、どうにか曲が舞い降りてこないものかと額に汗をかきながら沸騰しそうな頭で考えていると、かれこれ何回悩んできただろう、また同じことで悩んでいるということに改めて気づくのだ(今更)。いや、もうその悩みええわ!と自分にツッコミを入れざるを得ない流れだ。
こんなやりとりを頭の中でしていると呆れて笑えてくる。“まあ、これが私か”と少し自分を肯定できた気もしたし、なんだか人間らしくていいなとも思った。
そんな苦しさやもどかしさに焦らされながらも私は生きてきて、きっとこれからもそうやって生きていく。そう思う。それでいい。そして、そんな自分をたまにクスッと笑えばいいのだ。いろんな感情に振り回されようが、矢印がどこを向こうが、まずは人間らしく生きようと思えた。
ある水曜の夜、お風呂に入っている時の私の独り言を書いた、アイボリー。もどかしく楽しく生きるのって意外と悪くないと思う。
<MAMI>
◆紹介曲「アイボリー」
作詞:MAMI
作曲:MAMI