いかにすごいことを成し遂げているかを私たちは忘れてしまっている。

 2025年2月19日に“ナナヲアカリ”がニューシングル「明日の私に幸あれ」をリリースしました。タイトル曲は、1月より放送のTVアニメ『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』(略称:ギルます)のEDテーマ。さらに、若手ボカロPのtepeとタッグを組んだ新曲「PLAY&PRAY」も収録されております。
 
 さて、今日のうたではそんな“ナナヲアカリ”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「明日の私に幸あれ」にまつわるお話です。ギルますの主人公・アリナの思い、登場人物たちの姿、そして私たちの暮らしに向き合ってみたとき、見えてきた歌詞の方向性は…。ぜひ、今作と併せて、エッセイをお楽しみください。



お久しぶりです。ナナヲアカリです。
2月19日にニューシングル「明日の私に幸あれ」がリリースされました。今回はこの楽曲についてお話しさせていただきたいと思います。
 
この楽曲は、TVアニメ『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』(通称:ギルます)EDテーマのお話をいただいたことがきっかけで生まれたものです。
 
EDはコミカルでキャッチーにしたいというオーダーがもともとありながら、主人公・アリナの残業をしたくないという切実な願い、自分の時間を大切に思う気持ちに共感したこともあり、これを表現するにはリアルな感情とキャッチーエモーショナルを描けば天下無双の"玉屋2060%(Wienners)"さんのお力が必要だ!!と真っ先に思いました。快諾いただけて本当によかったです。
 
玉屋さんとの楽曲もこれで四曲目。四曲目ともなってくると打ち合わせもスムーズです。私の考えをこれでもかと汲み取ってくださるので、打ち合わせ終盤には玉屋さんはどことなく神様みたいに見えています。たぶん神様なんだと思います。
 
キャッチーでコミカルを重視するならば「残業!反対!無理!」みたいな振り切った方向性の歌詞もよいのでは? という案も一時は出ていました。ですが、改めて考えるとアリナはその絶対無理なことを終わらせるためにめちゃくちゃ頑張っているという人物像であるので、無理!という気持ちだけに振り切った方向性だと、作品とのズレが生じてしまう気がしました。
 
そして、一見アリナだけがめちゃくちゃ頑張っている特別な人物のように見えるけれど、作品内の他のキャラクターたちはもちろん、日々を生きている私たちもめちゃくちゃ頑張ってない? ということに気づいたのです。
 
仕事をするのは当たり前、学校に行くのは当たり前、その当たり前を繰り返してるうちに、いかにすごいことを成し遂げているかを私たちは忘れてしまっている。何日後かのお休みのために、明日の楽しみな予定のために、はたまたただひたすら自分の生活のために…。誰しもがそうやってさまざまな理由に向かって毎日を生き抜くことを積み重ねている。その凄さを今一度思い出して自分を褒めてあげられるような歌になったら良いかも!!
 
歌詞の方向性が完全に決まった瞬間でした。それを伝えると同時に、「うんうん、もうなんか浮かんできてる!!」と大きく頷いてくださった玉屋さんの安心感たるや。そして、生み出された軽快なフローに乗せられた突き刺さる言葉の数々。感無量でした。
 
ちなみに今回ちらほらと、「初見じゃナナヲアカリだとわからなかった」と言われたりなどもしているこの楽曲。こう言われる大きな理由はおそらくキーレンジにあると思います。最近の私の楽曲の中では圧倒的に低いキーとなっていて、いわゆるナナヲアカリらしい高音ロングトーンもありません(言葉はたくさん詰まっているけど)。
 
軽快さと口ずさみやすさを大事にしたかったので、結果、普段よりも低いキーでの制作をお願いしました。なのでたくさん歌ってもらえると嬉しいです。自分を鼓舞するように。笑
 
色々書きましたが「明日の私に幸あれ」は、あなたのためのライフソングです。あなたがあなた自身のために聴いて、歌って、楽しくなって、ちょっと頑張れる。そんな曲であってほしいと思います。眠くなったら寝てお昼過ぎに起きる、たまにはそんな休日を過ごしてほしいと思います。
 
最後に印象深い冒頭の<半端ないぱっぱら>部分の小噺をひとつ。私がリファレンスにあげたのは「ぽっぴっぽー/ラマーズP feat.初音ミク」でした。
 
私は!!!破裂音が!!!だいすきだから!!へい!!
 
<ナナヲアカリ>



◆紹介曲「明日の私に幸あれ
作詞:玉屋2060%(Wienners)・ポエトリー:ナナヲアカリ
作曲:玉屋2060%(Wienners)

◆ニューシングル「明日の私に幸あれ」
2025年2月19日発売