またきっと来年も同じように秋が来る。

 2024年9月11日に“あたらよ”がニューアルバム『朝露は木漏れ日に溶けて』をリリースしました。リードトラック「明け方の夏」は、もう戻れないあの頃の2人を思い返して歌ったバラードナンバー。さらに、新曲「少年、風薫る」やスマッシュヒット楽曲「僕は...」を含む全8曲が収録されております。
 
 さて、今日のうたではそんな“あたらよ”のひとみによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。綴っていただいたのは、収録曲「リフレイン」にまつわるお話です。夏が終わり、涼しい風や寂しげな空気を感じるようになってきたこの時期にぴったりの1曲。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



そろそろ秋が来る。夏の厳しい暑さから解放され、少しずつではあるが過ごしやすくなっていく。これから始まる季節が私は一番好きだ。 
夏の陽気な感じとはまた違って、どこか寂しげな街の空気がなんとも心地が良い。
 
今作の収録曲「リフレイン」は、まさにそんな季節に聴いてほしい。 
 
夏の間、青々と茂っていた草木もこれから少しずつ枯れていく。
私の家の窓からは桜の木が良く見える。毎朝起きてすぐにその木が今日はどんな姿になっているのか確認するのが日課だ。ちなみに今日はなんとも言えない中途半端な姿になっていた。進化途中なのだろう。
 
夏が終われば秋が来るように、人の記憶も日々新しいもので上書きされていく。
みなさんは昨年の秋がどんなだったかを直ぐに思い出せるだろうか。私は正直、あっという間に過ぎ去ってしまったということ以外はあまり覚えていない。ただでさえこんな状態なのにもう次の秋が目の前まで来てしまっている。もうすぐ塗り替えられるみたいだ。
 
私はあまり記憶力が良い方ではないので、意識をしていなければこんなにも簡単に忘れてしまう。だからこそ、私は覚えていたい出来事は頭の中で反芻する。何度も何度も。そのせいで例え、事実よりも少しだけ色鮮やかな記憶が生まれてしまったとしても、それはそれとして愛せるようになりたい。
 
そうやって少しずつ自分の中に落とし込んだ感情や記憶をもとにこれからも楽曲を創り続けていきたいとそう思っている。 
 
粉々に砕けてしまった枯れ葉はもう元には戻らないかもしれない。 
だけど季節は巡るし、またきっと来年も同じように秋が来る。
 
その度にまた思い出せばいい。何度も、貴方を。 

<あたらよ・ひとみ>


◆紹介曲「リフレイン
作詞:ひとみ
作曲:ひとみ

◆ニューアルバム『朝露は木漏れ日に溶けて』
2024年9月11日発売
 
<収録曲>
01 「僕は...」
02 明け方の夏
03 リフレイン
04 realize
05 少年、風薫る
06 君と
07 光れ
08 「僕は...」(Piano ver.)