「下克上」という言葉は私の根性そのものだった。

 2023年7月26日に“坂口有望”がNew Single「URL」をリリース!タイトル曲はTVアニメ『ホリミヤ -piece-』エンディングテーマ。伝えたくても伝えられない一途な想いを“URL”というキーワードからストーリーに仕立て、切なさが入り混じった感情をポップなバンドサウンドにのせたラブソングとなっております。さらにカップリングには3月に配信した「下克上」に加えて、新曲「せかいいち」を収録!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“坂口有望”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「下克上」にまつわるお話。デビュー前に書いたこの歌に込めた想いとは。そしてその歌がデビュー6周年記念日の今、リリースされる理由は…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



音楽活動を始めた中学生の時、周りは自分より大人なバンドマンばかりだった。ライブハウスに制服で向かい、誰かが自分を珍しがって声をかけてくれるのを待った。背が低いのも相まって、心配そうに挨拶をしてくれた関西の先輩方には、とても感謝している。
 
しかし、ライブとなると、本当に一人である。大きいギターを抱えて、人前で歌うこと。目立ちたがり屋を公言していた私も、さすがにあまりの緊張に打ちのめされそうだった。その時、今思うと本当に子供っぽいなぁと思うのだけど、「今日の出演者の中で一番爪痕を残す」という、自分の負けず嫌いを利用した奮い立たせ方以外、乗り切る方法はなかった。
 
「下克上」という言葉は、インパクトもキャッチーさも何も狙っていない、私の根性そのものだった。その気持ちで、ライブをやりまくっていた(多くて月10本とか)高校一年生の時にかいた歌が「下克上」である。
 
メールの履歴を見返すと、「好-じょし-」と同じ日にスタッフさんに送っていた。かたやメジャーデビュー曲となった「好-じょし-」、デビュー6周年記念日にリリースすることになった「下克上」。ミュージシャンはこれだからおもろい。いつだって昔の自分を引っ張り出して味わえる冷凍保存みたい。
 
話を戻して、「下克上」がなぜそんなに時を経て世に放たれたのかという謎は、紛れもない私が封印していたから。段々とお客さんがついてきてくれるようになって、「下克上」を歌わなくても、自分でギアを上げられるようになったのだ。
 
そして2023年、昔のデータをスタッフチームと聴き返したら、改めて(いい意味で)おかしな曲だなと、解凍されることになりました。かつて弱い自分の武器でいてくれた「下克上」という曲を、全国47都道府県のワンマンライブでまた歌うことになるなんて。有難い限り。
 
ちなみに今は、下克上精神じゃなくて、どんな心持ちでライブをやっているかというと、大きく二つあって。一つは、自分が感動してしまうくらいで歌うこと。当たり前だけど、私が一番多く、生歌を聴いているから自分が感動するって凄く難しい。だから、自分が歌っていて鳥肌がたったり、泣いちゃいそうになった日には、いいライブだったと判断している。
 
もう一つは、次のライブへの架け橋を作ること。ライブは、後からお客さんがいくら分楽しめましたと支払うわけではない。だからこそ、ライブの本当の評価というのは、「リピートしてもらえるか」もっと辛辣に言えば「また前払いしてもらえるか」だと思う。誰一人置いていかない、2時間弱の間に架け橋を完成させるイメージで、ステージに立っている。先日「全国声波」追加公演も発表されました。全50公演、駆け抜けるぞ!

<坂口有望>



◆紹介曲「下克上
作詞:坂口有望
作曲:坂口有望
 
◆New Single「URL」
2023年7月26日発売
 
<収録曲>
1. URL
2. せかいいち
3. 下克上
4. URL(Instrumental)
5. せかいいち(Instrumental)
6. 下克上(Instrumental)