さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“コアラモード.”による歌詞エッセイを2週連続でお届け!今回はあんにゅが執筆。綴っていただいたのは、新曲「わたしの願いごと」のお話です。最近、空を見上げたのはいつですか? それはどんな空でしたか? どうしても感情が薄まってしまいそうな今だからこそ、みなさんにこの曲とエッセイが届きますように…!
~歌詞エッセイ:「わたしの願いごと」~
数年前の夏、たしか午後2時くらい。打ち合わせのために会社へ向かっていた。その日は雨なのか晴れなのか、なんともいえない不思議な天気だった。東横線のちょうど多摩川を通り過ぎるあたりで、虹が見えた。くっきりと、絵に描いたような綺麗な虹。
わたしはあわてて鞄からスマホを取り出し、車窓にぴったりとレンズをくっつけてシャッターボタンを押した。自由奔放に揺れる車両。やっと顔を出したかと思うとまた物陰に潜り込み、なかなか上手に撮れない。わたしってカメラの才能ないのかな。と首を傾げながら写真フォルダを眺めた。
みんなどうやって撮っているんだろう。そう思いながら振り返り周囲を見渡してみると、オーマイガー。みんな耳にはイヤホン、車窓には目もくれずスマホに夢中だった。本当だったら「ねぇ!見て!虹だよ!」と大声をあげて騒ぎたいくらいだったが、もちろんそんなことはしない。それに、その人たちに「つまらない人たちね。」なんてケチをつけるつもりもまったくない。わたしだって、気付かなかった可能性は十分にあるし、今までもきっと気付かずに、たくさんの虹を見過ごしてきたんだと思う。
しかし、あまりにも綺麗だったので、この車両に乗っている人たちは、なんてもったいないんだろう…とソワソワした。その日は偶然座席がいっぱいでドア付近に立っていたので、外の様子がよく見えた。座れなかったのは残念だったが、それで虹に気付けたのだから、ラッキーだ。その後、乗り換えの駅で降りたが案の定、ビルに隠れて虹の姿は見えなかった。
それからというわけではないけれど、知らず知らず、そんな小さなラッキーを拾いそこねていないか心配になることがある。
「わたしの願いごと」という曲を作った。<夕焼け空と知りながら カーテンを開けないなんて>という歌詞から始まる。正直この数ヶ月は、新型コロナウイルス関連の悲しいニュースで笑顔が少なかったかもしれない。天気も、雨の日に「雨だ」って思うくらい。なんとなく、感情が薄まっているような感じ。
でもあるとき、立ち止まって窓の外を見てみたら、夕焼けがあまりにも美しくておどろいた。胸の底まで照らしてくれるようなオレンジの光。こんなに綺麗なのに、なんで今まで見逃し続けていたんだろう。虹の時と同じだ。
わたしは元気がないとき夕焼けをみると、すっと疲れが吹き飛んで笑顔になってしまう。他にも、ぐっすり眠れたとか、いつもより早起きできたとか、おいしいごはんを食べたとか、そんなことでもいい。
毎日同じサイクルの中で生きていると、あたりまえになってしまうことも多いけれど、よくよく考えてみるとすごく幸せに感じられることって意外とある。だから、もしあなたが落ち込んで帰ってくることがあっても、どうか丸一日ダメだったなんて思わないで欲しい。ちょっと深呼吸しながらお茶でも飲んで、どんな些細なことでもいいから毎日幸せを拾い上げてニコッと笑っていてほしい。
わたしの願いごとは、みんなが元気でいてくれること。
<コアラモード. あんにゅ>
◆紹介曲「わたしの願いごと」
作詞:あんにゅ
作曲:あんにゅ
◆ニューシングル「ネモフィラ」
2021年2月17日発売
完全生産限定盤(DVD付) ¥2,000(税込)
<収録曲>
1.ネモフィラ
2.ちゃんと手をつなごう
3.わたしの願いごと
4. ネモフィラ Instrumental
期間限定通常盤(アニメ盤) ¥1,100(税込)
<収録曲>
1.ネモフィラ
2.ちゃんと手をつなごう
3. ネモフィラ -TV Size-
4. ネモフィラ Instrumental