2020年11月25日に“武藤彩未”が最新ミニアルバム『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』をリリース。80年代の楽曲を小さい時から聞いてきた彼女だからこそ、どこか懐かしさを感じるレトロポップな楽曲がつまった1作に。今作も本人が作詞に携わり、女の子のリアルな気持ちが描いております…!
さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“武藤彩未”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回は【前編】です。綴っていただいたのは、今作の収録曲であり、歌詞先行公開もスタートしている新曲「ベティ」のお話。今、恋をしているあなた。理想の女性像を思い描きながら、自分なりの“魔法”を楽しんでいるあなた。是非、この歌詞とエッセイをご堪能ください!
~歌詞エッセイ:「ベティ」~
前作のミニアルバム『MIRRORS』から作詞を始めました。
私は小さい頃から両親の影響で、松田聖子さんの大ファンでした。聖子さんの名曲の歌詞をたくさん書かれている作詞家の松本隆先生。あんなに情景の浮かぶ歌詞を書く人は、今の時代なかなかいないです。もちろん私もそこに憧れ、そんな歌詞を書きたいなぁと思ってやっているのですが、いざ自分が書くとなると到底そんなお洒落な言葉選びなんてできず、自分の言葉の引き出しの少なさに怒りすら覚えました。改めて松本隆先生の凄さに驚かされてばかりなのです。
私の作詞スタイルとしては、自分の体験談を語るより、友達から聞いた話やドラマや映画で見た話を想像で膨らませて歌詞を書くことが多いです。歌詞を書く場所は、電車の中が一番好きで、よく電車に乗って考えています。
さて、今回お話しさせてもらう「ベティ」という楽曲は、そんな今までのスタイルとは違って、想像ではなく結構自分の体験談に近くなっています。私も昔はこんな感じだったなぁと思いながら作詞を進めていました。
女の子になること、はにかんでたあの頃
リュックにスニーカーで一番早く走った
でも本当は私もスカートがよく似合う
あの娘に憧れてた無い物ねだりだよね
1番のAメロの歌詞なのですが、これはまさに私が小さい頃感じたこと。女性の方は共感してくれる方もいるかなと。
小さい頃はボーイッシュなタイプで、スカートなんて履く女の子ではなかったので。それが自分のスタイルだったとしても、やっぱり自分にないものを持ってる子に憧れちゃった経験ってありませんか? しかもやっぱりスカートを履いている女の子がモテるんですよね(笑)。母親に「あんな洋服が着たい」と頼もうと思ったことが何度あったことか…。それすら恥ずかしくて言えなかったですが…。
そんな女の子がどんどん女性へと変化していきます。その理想の像として「ベティ」という言葉を使いました。なぜ「ベティ」なのかというと、この曲はまずメロディから先にできていました。曲先ですね。作曲は御供信弘さんです。御供さんがこの曲を私にバトンタッチしてくれた時には、仮タイトルで「ベティ」とついていたのです。ベティってなんだろう? と思い調べたら、英語で書いて「Betty」=「魅力的な女性」という意味でした。それが私の中のヒントになって、自分が思い描いていた憧れの女性像、魅力的な女性へと変化していく女の子の話を書こうと…。
この曲の主人公の女の子は、初めてお化粧をすることや香水をつけることをして、その楽しさを覚えていきます。そんなところも、最近やっと自分で化粧品を買って集めるようになった私と同じだったり。
やがて主人公は恋に憧れます。今まで恋とは無縁の男の子のような女の子だったので。素敵な人、そう、白馬の王子様を待っているのです。「白馬の王子様」をあえて使用することで、ピュアな女の子を一言で伝えたかったのです。
そしてお化粧や着飾ることを「仮面」と例え、仮面が取れてしまっても、あなたは好きでいてくれる? といった気持ちを込めつつ「あなたは…」以降の歌詞はあえていれていません。「あなたは…」の後は皆さんの想像でいろんな世界を創っていっていただければと思います。可愛くなるメイクや洋服、そんな「魔法」を覚えるけど自分らしくいたい。そんな私も愛してくれる人と出会えますように。ずっとずっと待っている。
やっぱり女性は愛された方がいいですよね。ありのままの自分でも好きって言ってくれる人を見つけたい。主人公のそんな願いが叶うと信じながらこの曲を書きました。
<武藤彩未>
◆紹介曲「ベティ」
作詞:武藤彩未・御供信弘
作曲:御供信弘
◆ミニアルバム『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』
2020年11月25日発売
タワーレコード限定盤 TRNW-0168 ¥3,300(税抜)
通常盤 TRNW-0169 ¥2,500(税抜)
<収録曲>
1.Flower
2.ベティ
3.oshan
4.ミルクコーヒー
5.センチメンタルスカイ
6.マーマレード