風のプリズム

太陽はかくれ
街はくもった硝子色
だれかがこぼしたお茶の香り
君の好きな季節が暮れてゆく

かなしい顔をどうかしないで
君が好きだよ
ねむれぬほどに

よりかかったフェンスの
さびた色が白いTシャツをよごした
死にそこねた蝉が空をあおぎ
最後の歌を放つ

こぼれ落とした恋をいまでも
夢にみている
もうじき陽もさすだろう

気まぐれな街が
ざわめきだしたんだ
熱っぽい沈黙と
うすらいだ雲が君の街へ飛んでいく
もうじき僕にも運がむいてくるだろう
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