卒業前夜

365日前の そのまた前の前の前の今日
君を見つけた時に 冒険が始まる気がしたよ

嬉しいとか悲しいとか 叫ぶように生きてきたこと
こぼれてしまわぬように まぶたの裏に隠すだけ

「楽しかったはずなのに今あの頃のことを
思い出すと少しだけ何故だか寂しくなる。」

いつまでも ずっと いつまでも 君と肩を組んで唄ったこの唄を
忘れたくないなってぼんやり胸の奥で思ってた

まだ着慣れてないスーツのネクタイ
窮屈そうに緩めたそばで
「これからどっか飲みにでも行こうよ。」
あの日そう笑い合ったっけなあ

「その涙を拭ける距離に僕が居なくなっても一人でやっていけるの?」って
飲み込んだあの日から

嵐のような日々を君と漕ぎ続けた舟は
今も僕一人で静かな海を進んでいるよ

君から言われる前に怖くて言ってやった
「一人でもやっていける。」に後悔しているだけ

まだ寒い春先の朝 何も話さず歩いた坂
これからこの舟を降りる君に「ありがとう」握りしめて渡せないまま

君の未来 そして僕の未来 明日から別々の話
思い出を道しるべにしながら
僕らの人生(うた)は何度転調しても

いつまでも 君と いつまでも あの日と同じ歌を唄いたい
挫けたり 涙をこらえる日も 誰かと幸せって抱き合う日も

大人びた君がようやく口を開いて何か言う前に
「これからどっか飲みにでも行こうぜ。」
今度は僕から言ってさ
やっぱり笑い合ったっけなあ

365日前の そのまた前の前の前の今日
君を見つけたときに冒険が始まってから
明日はもう卒業の日
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