タクシーと指輪とレストラン

あれは君の 誕生日で
雨さえ 降り出してた
僕はまた タクシーを
拾おうと 駆け出してた

手をあげても 止まらない 夕暮れどき
少し風邪をひいてた
君が気がかり
レインコートを肩から かぶせて 抱きしめた…

あの店は まだあるよ
古びた ガラス窓で
ためらいがちな君を
無理矢理 ドアの中へ

鈍く光る 棚の隅で 見つけ出した
模造真珠の指輪
君の細い指
するりと抜けて笑った 小さな贈りもの…

友だちから きいてきた
流行りの そのレストラン
満員で断わられ
途方に暮れた僕に

「歩きましょう」と からませた 指と指に
あの頃は いつでも
ふたりの愛が
優しく 往ったり来たり 若い日の思い出…
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