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窓の下で呼んでる いつもの合図
傷だらけの軽トラック

作業者のおまえが 照れて笑う
オレは手を振る

あの時の街角に 車を転がして
ちょっと前の思い出を 昔話にする

照れているのはオレの方なのさ
こんな毎日を ペンキで塗りつぶすだけでさ

20歳の今 お前は父親になったけれど
おまえの汗は 小さな暮しをもう 築き始めた

交差点で 右にきったハンドル
ゆっくり元に戻し

おまえの横顔は いつの間にか
大人じみてる

夜中まで騒いでた あの店はあのまま
朝まで走り抜けた この路もこのまま

照れているのはオレの方なのさ
もうすこしだけ オレはこのままでいていいだろう

20歳を今迎えて 父親になったけれど
おまえの汗は 小さな暮しをもう 築き始めた

ふたりでいるおまえにしても
ひとりのオレも
ふりかえることなどないのさ

あの日の夜を走った 一台の軽トラック
かけあがった坂道を 走り去って
この道を走りつづけた 今も傷だらけの軽トラック

夜の静かな街に 消えていく
あの日のおまえ
ふりかえらずに
ふりかえらずに
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