風の盆流し唄

紅蓮炎(ぐれんほのお)に 落ちてもいいと
泣いてすがった 坂の町 坂の町
―恋の八尾(やつお)は―
運命(さだめ)はかない 別れの路地を
おわら流しが よぎって悲し

八尾坂道 涙でのぼりゃ
富山あたりの灯火(ひ)がゆらぐ 灯火がゆらぐ
―飛んでゆきたや―
募(つの)る想いを 夜風にのせて
おわら流しの 胡弓がむせぶ

忘れたはずの あなたの顔が
鎧格子(よろいごうし)に また浮かぶ また浮かぶ
―露か時雨(しぐれ)か―
唄の節さえ 心を濡らし
おわら流しが 遠くに消える
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