悪い夢の中で目覚める。

 2024年11月1日に“Czecho No Republic”が9thフルアルバム『Mirage Album』をリリースしました。すでに配信リリースされている楽曲や新曲など、“Mirage”というタイトルの通り幻想的で色とりどりの輝きを放つ全14曲が収録されております。また、2025年1月11日の大阪・Live House Animaから3月1日の宮城・ROCKATERIAまで、全8公演ツアー開催決定!
 
 さて、今日のうたではそんな“Czecho No Republic”の武井優心による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、今現在、作詞について考えていること。そして今作の収録曲「Bad Dreams」にまつわるお話です。歌詞だからこそ生まれたフレーズ、物語とは…。ぜひ楽曲と併せて、エッセイをお楽しみください。



作詞、難しいです。いまだによく分かってないですね。
まず自分の考えとか体験談から歌詞が生まれるんだけど、どこまで私物化して良いのか分からない。やっぱり読んだ人が共感を得られるものじゃないとオナニーで終わってしまう。でもオナニーの何がいけないんだと己の中の小さなパンクスが脛を蹴ってきたりもする。
 
詩的な表現に憧れたりもする。時々自分に酔ってそんな言葉をパズルしてみたりする。だけど基本的にやはり格好つけたくないので誰にでも分かる簡単な言葉だけを簡単に使いたい。そこにセンスが垣間見えないとつまらない。韻を踏むのは気持ち良いけど使いすぎるとダジャレみたいでくだらなくなる。伝わらないと悲しいけど伝えようとしすぎると鬱陶しくなる。
 
普段あまり本を読まないので会話の延長みたいな歌詞を書きたいというのは多分昔からある。話し言葉っぽい歌詞。それが1番自然な気がする。変な言い回しとか、普段足されることのない言葉の組み合わせが好きだったりする。
 
そういう言葉が沢山見つかると作詞って楽しいなってなる。あとは響きに釣られて書いた英詩とかが、勝手に物語を作っていくパターンもある。
 
今回、「Bad Dreams」という曲のサビで<Awake in Bad Dreams(悪い夢の中で目覚める)>という歌詞がある。本当は<Awake from Bad Dreams(悪い夢から目覚める)>にしたかった。どうやってもメロにハマらないから前者になった。でも後々考えていったら悪い夢の中で目覚める方が面白いなと思った。悪い夢の中で一瞬目覚めるけど、また何事もなかったかのように悪い夢に戻っていく。
 
綺麗事全部抜きで言わせてもらうと人生ってそんなもんじゃない?って思う。人生素晴らしいとは思うけど、自分はつまらないなと感じる時間の方が多いし、なんなんだこの人生は!と怒りに溢れる時もある。でもそんな日々の中でケタタマシイ光量を持った美しい出来事や感情が生まれる日がある。そんな日がたまにあるのが人生だと思う。それが悪い夢から目覚める瞬間。そんなのは数時間経ったら薄れていく。また悪い夢の中だ。
 
言葉がハマらなかったばっかりにこんな歌詞世界に辿り着いた。
歌詞じゃなかったらこの展開にならなかったと思う。使える言葉数の制約があるから楽しいし逆に書けるんだと思う。先生の監視の目があるからこそ修学旅行の夜の時間は果てしなく楽しかった。今現在、歌詞について思うのはそんなところです。またすぐ考え変わると思う。以上。
 
<Czecho No Republic・武井優心>



◆紹介曲「Bad Dreams
作詞:武井優心
作曲:武井優心

◆9thフルアルバム『Mirage Album』
2024年11月1日発売

<収録曲>
1 Introduction (Into The Bad Dreams)
2 Bad Dreams
3 Go!Go!Juliet
4 Psychedelic Night
5 Happy Birthday
6 Friend
7 emotional girl
8 Hope
9 STORY
10 Pony Bambi
11 Life To Me
12 Wonderland
13 Journey
14 Bad End