このグレーを、白か黒かで分けるならあなたはどちらに分類しますか?

 2024年7月9日に“ざきのすけ。”が新曲「down under」をリリースしました。同曲は、ドラマ『夫の家庭を壊すまで』主題歌。伝統的なR&Bの進化形として、自己探求、内面的な葛藤、孤独、愛、失恋など、深い感情や個人的な経験を描いた楽曲。音楽プロデューサーRyosuke“Dr.R” Sakaiによるビートメイクで、立体的な音の風景を創り出し、葛藤する男女の狂気的な愛が表現されております。
 
 さて、今日のうたでは“ざきのすけ。”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「down under」にまつわるお話です。自身が楽曲を作る際、大事にしてきたのものは、グラデーション。その理由とは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。



今作「down under」は、真反対の感情の間にあるグラデーションにもがき苦しむ女性を主人公として書き上げた。
 
今作に限らず、僕は、楽曲のコンセプトとして、対極にある存在のその間にあるグラデーションの部分に固執している。
愛と憎しみ、生と死、喜びと悲しみ、朝と夜、ポジティブとネガティブなどなど。
 
これはグラデーションの一部を取り上げたときの曖昧さが自分にとっても、誰かにとっても救いになると思っているから。
 
もしも、「そのグラデーションの中にある一つの点を、その延長線上にあるどちらかの対極に分類してください。」と言われても、僕は答えを出したくない。
この灰色を、黒か白かの二択で分類してください。
みたいなこと。
凄く馬鹿らしくて、どうでもいい質問だと思う。
 
それでも、自分を含めたほとんどの人が、かなり無意識に近い状態で常日頃から、そういう自問をしながら、いろんな物事の分類を繰り返してしまっていると思っている。曖昧な状態にあることが悪いことだと思い込んでいる気がする。
その答えに仮初の安堵をしながら、ときに、必要のない苦痛を感じながら。
 
ありのままを受け入れられたら、ありのままを愛せたら、それ以上素敵なことはないのにと思う。
それはすごい難しいことだけど。
だからこそ、歌を歌うときくらい、歌を聴くときくらいは、それが出来るように、グラデーションのその曖昧さをコンセプトにし続けたい。
 
僕の楽曲たちの持つグレーや、「down under」の愛と憎しみ、それによって思い出された、あなたのグレーな感情も、
 
「白か黒かで分けるなら、どちらに分類しますか?」
 
という問いを封じて、あなたなりの名前をつけてくれたら嬉しいなと思う。
あなたなりに愛してくれたら良いなと思う。
 
<ざきのすけ。>


◆紹介曲「down under
作詞:Yusee・Yui Mugino・Ryosuke “Dr.R” Sakai
作曲:Ryosuke “Dr.R” Sakai・Yusee・Daisuke Nakamura