歩くピアノ

好きなことして生きるよ
ピアノはひとり歩き出した
コンサートホールを抜け出した
観客の眼を盗んで

好きなところ行ってみるよ
ピアノは浅草あたりで
憧れのホッピーを呑みながら
国会中継を観てる

イタリアの路地から大富豪のリビングまで
時々思い出すいつでも目を閉じれば

そしてメロディは闇に溶けた
いまだ空席の夜に

音の階段を黒と白と
撫でたり時々叩いた
あのピアニストを訪ねて
今夜も夢の中へ

嗚呼 心はどこにある譜面台の裏のとこ
新しい恋人が欲しいなんて思っている

そしてメロディは闇に溶けた
いまだ空席の夜に
88軒のはしごをして
最後は星になった
おやすみ
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