春の嵐

遠くで鳴り響く 雨の気配は
少しホッとさせる 傘もないのに
こんな空模様だけが
この想い 隠してくれるようで

暮れてゆく都会
灯りの方へ 人は急ぎ足
わたしひとり
答えも名前も見つからぬ想い
いまでも抜け出せない

ほんとうの心
ぶつけ合うよりも
傷つけて嫌われたかった
「行かないで」「ひとりにしないで」
そんなふうに言えないまま
春の嵐

海に落ちていくチェリーの夕陽
カクテルグラスのなかの東京
でたらめな恋の喧騒に逃げ
ふたりは始まった

弱さ見せ いつか
呆れられるより
傷つけて嫌われたかった
あの恋は なにも始められぬまま
終わったと気付いた
春の嵐

きみの顔を思い出せないのに
そらさない眼差しが離れない

愛してたなんて
言うこともできず
悲しみも知らずに 終わった
もしもまた きみと
会える日は きっと
ほんの一瞬だって
向き合いたい

弱さ見せ いつか
呆れられるより
傷つけて嫌われたかった
あの恋は なにも始められぬまま
終わったと気付いた
春の嵐
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