オレンジ

たんぽぽの綿毛が 羽織ったシャツの袖口に
どこからやって来て どんな旅をしたのかな

待ち合わせして帰った 夕焼けに向かう
なだらかな坂道で君が 振り返って笑う

ささやかな一瞬は まぶたの奥焼きついて
永遠じゃ敵わない オレンジ色の宝物

案内するからと 胸を張って言うけれど
今日もまた迷った なのになぜか嬉しそう

しりとりしながら帰る 夕焼けに向かう
なだらかな坂道で僕は 「晩ごはん」で負けた

一番星見つけては 私の方が先だよと
ムキになるその顔が たまらないほど愛おしい

何気ない時間ですら君にかかれば 魔法のように生まれ変わる

なだらかな坂道で 夕焼けにふと立ち止まる
振り返る君をまた 重ね合わせて
二つ並んだ影法師 もう今じゃ一つきり
一番に光る星 見つけられずに
オレンジに 溶けていく
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