旅路

親の情は 知らず
他人の情に 泣いて
すてた仁義の 糸が
足にからまる 夜路
淋しがり屋の ゆきつく果ては
昔わかれた 女の町か

旅の支度は べつに
時間はかかりはしない
古い上衣を 肩に
ひとりとび乗る 夜汽車
ついてくるのは 三日月ひとつ
霧よかくすな あの月だけは

あてがあるのじゃないが
わらって別れてきたよ
霧は小雨に変り
くらい線路を ぬらす
やがてあの娘も 忘れるだろう
こんな男の いたことなんか
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