Coat

住み慣れた部屋 差し込んだ陽のせいか
焦がす胸の奥は軽い
隅の埃が舞うたびに目を擦り
垂れる水の音が響く

想像と記憶と瞬間を刺す匂いがして
千鳥足で追いかける憧憬
夏の透明な同系色の中に溶けた

継ぎ接ぎのまま 駆け出した日のせいか
濡れる靴の先は重い
次の街へと平坦な道を抜け
枯れる木々を縫い進もう

焦燥と思考と習慣を刺す匂いがして
千鳥足で追いかける憧憬
夏の透明な同系色の中に溶けた

想像と記憶と瞬間を
焦燥と思考と習慣を
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