おふくろの海

俺が半分 つくったような
苦労白髪の おふくろよ
おやじを失くした 小舟も錆びて
磯の波間に ゆれながら
漕ぎ手待ってる 涙のむこう

年はとっても 動けるうちは
浜に出るのが 生きがいと
送ってよこした 包を開けりゃ
海の匂いと 母ごころ
なんで故郷(こきょう)は 近くて遠い

赤い浜なす 今年も咲いた
岬外れの 日暮れどき
背中を丸めて 番屋の隅で
網を繕(つくろ)う おふくろを
夢で今夜も 負ぶってやろう
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