命の息吹き

浮いては沈み漂ひ流されてゐるけれど
過去は未来と出会ふの こゝへお出で

潮のかをり 春のきざし
期待通り小さいいざなひ
尊いものはいつも素性を明かしてゐる
ちやうどこの蝶のやうに
渇いた貴方の為に私は花になる さあ
蜜をば召しませだうぞ羽搏(はばた)いて行つて

遠い空が溶けて 夜明け
祝つてくれ大きい目覚め
尊いものはいつも無言でかまへてゐる
ちやうどあの雲のやうに
潤んだ貴方の為に私は山になる さあ
雨も涙もさうぜんぶ飲み干しちやふわ

明日や昨日なんて
如何だつて良いぢやないか
誰よりも何よりも今日生きてゐるもの

ねえ、貴方の為に私なんだつてするわ
仕合はせか不仕合はせか知れなくとも
頭より心より 野生の命が動いたとき
貴方は私と出会ふの まちがへないで
‥こゝがいま
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