春色の彼女

肌寒い3月の川べりに 僕ら腰かけて
プシュって缶が開く音がする とりあえず乾杯しよう

まだ満開じゃない桜に手を伸ばしながらさ
君が匂いを嗅いだりしてはしゃぐから
僕は笑って 泣く

馬鹿だろ?
心が弱いんだ 自分にも見捨てられるのが怖くて
馬鹿だね
それでも君のこと好きなんだから

春の中で君は揺れている 遠いおとぎの国に咲いている花のように
無邪気に話す まるで僕の彼女みたい
いつかは誰かのものになるくせに

「君が恋人ならよかったな。」
もう酔いがまわってるんだろう
僕にとって一番残酷な嘘 君は平気で言うんだね

馬鹿だろ?
根性なしなんだ 大事なものすら護れない
馬鹿だね
「ずっと一緒に」なんて子供みたいなこと思ってた

春の中で僕は揺れている 君があまりに綺麗な顔で泣くんだから
「さよなら」「またね」あと何回僕ら交わせるだろう
その涙 僕にもくれよ一滴でも

遠くにいっちゃう主役が君を傷つけても
友人Cの僕でいいならずっとそばにいるのに
ハッピーエンドは遠くても
僕は…

春の中で僕ら揺れている ずっと交わらないそれぞれの未来を想って
「さよなら。いつかまたね。」って手を振る日が来るから

春の中で君は揺れている 遠いおとぎの国に咲いている花のように
すごく綺麗だ まるで僕の恋人みたい 馬鹿だね
そんな君をこれからも好きなこと 喉の奥で止まったまま

「君が恋人ならよかったな。」
舞い散る桜の向こう
春色の君が言う
×