時雨

ひた走る甘い時雨の向こうで
誰かが笑ってる気がしている
言葉も埋もれる宵の雨霰
二人の足跡を潰していく

消えるな 消えるな 流れ星燃える
月夜に二人で手を伸ばして
入るな 入るな 魔法の湖へ
気付けばびしょ濡れ 離れ離れ

光なんてないの
わかってる
もう君なんて居ないの
わかってる

迸った泪の分だけ
軽くなった筈 君の心まで
視えるほど熱い声で
溶け落ちていく 宵の雨霰

ひた走る甘い時雨の向こうで
二人が笑ってる窓が曇る
言葉は要らない魔法の湖へ
深く ただ深く滑り落ちる

遠くいこうよ どっか遠くへ
早くいこうよ どっか二人で

滞った身体の奥から
君への想いが溢れていく

癒えるほど厚くなるなら
触れた安堵も徐々に消えていく

ひた走る甘い時雨の魔法で
誰にも言えない糸を手繰る
明日も埋もれる宵の雨霰
二人の傷跡を包んでいく
×