時間の言葉

棘抜き地蔵で聞いたよ
お婆ちゃんの失くしたロマンス
僕の生まれるずっと昔に
時を飛び出したお話

軌道から外れたロケット
お爺ちゃんの悲しい船は
二度とは戻れない
闇を飛び続け
9月6日の乙女座の夜に
ほらご覧 今年も灯ります

夢は果てしない 宇宙を駆け抜け
時間の言葉は 静かに流るる

そんなある日幻か
お爺ちゃんの飛ばした電波が届いた
モニターに写すその姿
まるで三十年前と同じ
手を振って優しく笑います

お婆ちゃんの目は涙で溢れて
お別れの手を振って 電波は途切れた

夢は果てしない 宇宙を駆け抜け
時間の言葉は 静かに流れる
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