北のものがたり

ついてくるのは 止めときなよと
あなたは火の酒 飲みほしていた
男のわがままが 女を駄目にする
女のやさしさが 男を駄目にする
北のさいはて 暮したふたり
しょせんはさすらい ちぎれ雲

来る春 待てよと 背中で告げて
木枯らし吹くなか 駆けぬけていった
男の冷たさが 女を燃えさせる
女の想い出が 男を傷つける
北の酒場で 夢みたふたり
淋しさ寄せあう 吹きだまり

ぼんやり灯かげに グラスをかざし
短い月日を 思いめぐらす
男の生き方は 女にわからない
女のはげしさは 男にわからない
北の港で 波音聞いて
あしたはあてない 飲みおさめ
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