メリー ライブレポート
メリー
メリー C.C.Lemonホール
2008年12月24日@C.C.Lemonホール
会場に入るとBGMにロックなクリスマスソングが流れ、ホールスタッフはサンタ帽を冠り、もちろん客席にはサンタ姿のファンも多く、ステージ上には最新シングル「冬のカスタネット」のジャケットに描かれているトナカイが鎮座している。さらに、オープニングSE「M.E.R.R.Y.MARCH~デンヱンカウキヤウクミキヨク~」が流れる中、ステージ後方の幕が上がると、「冬のカスタネット」のジャケットと同じ白い木が現れた。いよいよ始まる、結成7年目にして初のクリスマスライヴ。果たしてどんなショーになるのか? ...と期待していたのだが、聖なる夜の聖なるライヴの幕開けを飾ったのはパンキッシュな「Midnight Shangrila」。マグネシウムの爆発音とともにスリリングなサウンドが客席に襲いかかり、それに観客も激しいヘッドバンキングで応戦し、有無を言わさない勢いで普段と変わらないハイテンションなライヴが繰り広げられていく。 しかし、中盤にはスペシャルメニューが用意されていた。興奮状態にあった観客を席に付かせると、「東京に降る雪」などクリスマスに打ってつけのナンバーをアコースティックスタイルでしっとり聴かせたのである。アコギの繊細な音色とパーカッションの温もりのある音色が、哀愁あるメロディーとウエットなガラのヴォーカルが引き立たせ、観客は切なげなムードを漂わす楽曲たちをじっと聴き入っていた。そして、恒例のガラの習字による筆談の後、再び攻撃態勢に! ヒステリックな「頭がザクロ」からスタートした後半戦は、「ジャパニーズモダニスト」などのエネルギッシュなナンバーが客席を加速度的にヒートアップさせ、その感情をマックスにまで振りきらせた「ロストジェネレーション」で本編が締め括られる。アンコールでは舞い降る雪の中、この日のために作られたメリー初のクリスマスソング「冬のカスタネット」が披露され、場内をしばしロマンチックな空間に変えたものの、途中でサンタ姿に早替えしたネロのドラムソロから始まったダブルアンコールからは再度アグレッシブなライヴが展開される。言うまでもなく、メンバーも客席も全身全霊で弾けまくり、2008年のメリーの姿勢を示した骨太のポップチューン「閉ざされた楽園」でクライマックスを迎えるのだった。 メリーのクリスマスライブ『Merry X'mas』。あまりにもベタなタイトルだけに、バンドイメージ等から今まで避けてきたのかもしれない。しかし、今のメリーは自由だ。だからこそ、開催されたと言っても過言ではないだろう。それだけの余裕がバンドにあるのだ。中盤にアコースティックタイムでクリスマスのムードを作りながらも、いつものメリーらしいライヴを繰り広げ、さらに次のフィールドに立ったことを垣間見せる2曲の新曲も聴かせ、2008年を締め括るに相応しいパフォーマンスだったと言える。