LIVE REPORT

仲村宗悟 ライヴレポート

仲村宗悟 ライヴレポート

【仲村宗悟 ライヴレポート】 『SHUGO NAKAMURA 2nd LIVE TOUR 〜+ING〜』 2022年5月29日 at Zepp Haneda(TOKYO)

2022年05月29日@

撮影:笹原清明/取材:村上孝之

2022.06.02

1月26日にリリースされた最新シングル「流転」(TVアニメ『最遊記RELOAD -ZEROIN-』ED主題歌)でまた新たな顔を見せ、高い評価を得た仲村宗悟。2019年からシンガーソングライターとしての活動を本格化させて以降常に結果を出していることからは、彼がアーティストとしていい波に乗っていることを感じさせる。そんな彼は4月30日から全国ツアー『SHUGO NAKAMURA 2nd LIVE TOUR 〜+ING〜』へと旅立ち、同ツアーのファイナル公演が5月29日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)で行なわれた。前述の「流転」のリリースに伴うインタビューで、2ndツアーのライヴをストレートなものにするか、演出を活かしたものにするか悩んでいると話していただけに、その後彼はどんな決断を下して、今回はどんなライヴを観せてくれるのだろう? そんなことを思いながらZepp Hanedaへと足を運んだ。

ライヴの始まりを告げるオープニングSEが流れた瞬間、Zepp Hanedaの場内を埋めたオーディエンスは総立ちになり、仲村がステージに登場すると盛大な拍手と多くのファンが手にしたカスタネットの音が鳴り響いた。開演前は落ち着いた雰囲気だった場内の熱気が一気に高まる中、アップテンポの「JUMP」と「Freedom」を続けて聴かせる流れからスタート! 余裕の表情で強い存在感を放ちながらウォームな歌声を聴かせる仲村の姿とサポート陣が奏でる躍動感を湛えたサウンドに客席も華やかなリアクションを見せ、非常にいい雰囲気の幕明けとなった。

さわやかな「カラフル」を披露したあと、“本日は『SHUGO NAKAMURA 2nd LIVE TOUR ~+ING~』にご来場いただき、誠にありがとうございます!”と仲村が挨拶し、““ING”の説明をしたいんですけど、“ING”というのは皆さんご存知のとおり“現在進行形”という意味じゃない? 今の僕は声優活動もやらせてもらっているし、アーティスト活動もやらせてもらっているし、いろんなことをやらせてもらっているんですよ。そして、そのどれも妥協していきたくない。全て進化し続けたいんです。だから、今が最終形じゃなくて進行形でいたい。そんな思いからつけられたのが“ING”というタイトルです”と続ける。自身がかかわる総てのことに全力を注ぐ仲村に相応しい意欲的な言葉に、客席からは拍手が湧き起こった。

その後はメロディアス&キャッチーな「僕なりのラブソング」やハッピーな雰囲気の「あなたのこと」、ウォームなシャッフルチューンの「葛飾ラプソディー」(カバー曲)などをプレイ。仲村の楽曲をライヴで聴くと自らが作詞作曲を手がけているアーティストならではの説得力にあふれていることを改めて感じる。また、「葛飾ラプソディー」では自作曲を歌う時とはまた異なる楽しそうな表情を見せたことも印象的だった。

ライヴ中盤では繊細に始まり感動的なエンディングへと向かっていくスローチューンの「オブラート」や陰りを帯びた「水槽の花」、UKロックに通じるエモーションを活かした「Rain forecast」、静と動の対比を活かしたアレンジが胸を打つ「流転」などが届けられる。深みのある楽曲達は聴き応えがあるし、こういったシリアスなナンバーをしっかり聴かせるのも実に見事。全てのオーディエンスが仲村の描き出す抒情的な世界に深く惹き込まれていることが如実に伝わってきた。

サポートメンバーを紹介するMCを挟んだあと、“まだ遊び足りないよな? じゃあ、一緒に遊びましょう!”という言葉とともにステージの空気感は大きく変わり、アッパーな「ナチュラル」やファンキーな「Oh No!!」が演奏された。明るいサウンドやフィジカルなステージングでオーディエンスのテンションを引き上げて、さらにパワフルな「imitation」とアップテンポの「わかってちょうだいね」を畳みかけるように投下。テレキャスターを掻き鳴らしながら力強い歌声を聴かせ、膨大なエネルギーを放出する仲村。こういったロックテイストを備えていることも彼の魅力と言えるし、ホットなステージングを展開していながら常にヴォーカルが安定していることも印象的だ。そんな仲村に牽引されて客席の熱気はさらに高まり、場内は盛大な盛り上がりを見せた。

アツく盛り上がって終わるかと思いきや“声が出せない状況の中でライヴをするというのはアーティストにとって結構怖いことだと思うけど、みんながこうやって手をあげてくれたり、カスタネットを鳴らしてくれたりすることで声をもらっている感じになって、すごく元気になるよ。ずっとステージ上で回復している感じがある。ヒットポイントが減った直後から、すぐに回復していく感じがする。ありがとうございます、本当に。これから先もまだまだ俺と遊んでくれる? ありがとう。僕と一緒に歩いていってほしいなと思います”という言葉を挟んで、清々しい雰囲気の「ゆらゆら」と煌びやかな「壊れた世界の秒針は」を歌唱。柔らかな光を想起させるサウンドに、オーディエンスは一体感にあふれたリアクションを見せていた。そして、場内を完全にひとつにまとめ上げたことを感じさせる中、本編の締め括りとして「素敵な世界で」が演奏される。心に染みる歌声を聴かせると、心地良い余韻を残して仲村はステージから去っていった。

今回のツアーでも純粋に音楽で勝負するライヴを披露した仲村宗悟。歌の表現力やステージング、ライヴ運びといったあらゆる要素にさらなる磨きがかかっていて、ストレートでいながら物足りなさを微塵も感じさせなかったのは流石のひと言に尽きる。アンコールで彼が語った“俺は一生進化をし続けたい。新しい景色を見たい”という言葉が上っ面なものではないことを感じたし、そんな彼はこれからもアーティストとして着実にスケールアップしていくに違いない。今後の彼の展開が本当に楽しみになる、ハイクオリティーなアクトだった。

撮影:笹原清明/取材:村上孝之

仲村宗悟

ナカムラシュウゴ:1988年7月28日生まれの沖縄県出身。中学生の頃にギターにのめり込み、音楽の楽しさを知る。高校卒業後、音楽の道を志し東京に上京。その後、友人の舞台を観劇したことがきっかけで 声優を目指すようになり、ゲーム『アイドルマスター SideM』の天道輝役に大抜擢される。その後も「TSUKIPRO THE ANIMATION」久我壱星役を担当するなど活躍中。19年3月に第13回声優アワード新人男優賞を受賞。同年10月にはシングル「Here comes The SUN」でアーティストデビューを果たした。

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