LIVE REPORT

雨のパレード ライヴレポート

雨のパレード ライヴレポート

【雨のパレード ライヴレポート】 『ame_no_parade Oneman Tour 2018 “COLORS”』 2018年4月21日 at 日比谷野外大音楽堂

2018年04月21日@

撮影:田中聖太郎/取材:石角友香

2018.04.25

雨のパレードが3rdアルバム『Reason of Black Color』を携えた全国9カ所のツアーを開催。国内でのファイナルかつ初の野音単独ライヴを実現した。これまでも“日本の音楽シーンを変えていく”“もっと音楽そのものを楽しんで”というメッセージを作品ごとに発信していた彼ら。全ての色を混ぜると黒色になる、と表現したほど多様な音楽性が包摂された新作のツアーで、そのスタンスは強靭なものへ変化していた。

多様性を増した今の雨パレを表現する手段としてのセットリストにまず驚いた。新作の中でも異色のスローバラードで、山崎康介(Gu&Syn)のフレーズにはアメリカンロック的なものすらある「You & I」でライヴをスタートしたこと。野音にいるオーディエンスとともに旅に出るような、ワンマンならではの深度だ。もはや生楽器とエレクトロの融合とか、現行の海外シーンとのリンクとか、そんな形容も意識も雨パレには必要ない、そう確信させるに十分だったのだ。随所に「Tokyo」「new place」といった人気曲を挟み、ファンもリラックスしてライヴを楽しめる流れもいい。そこに是永亮祐のベースが主旋律級のフレージングを挟む、「(soda)」で、演奏のユニークさで引き込む場面があったり、レコーディング時と同じ状況——福永浩平(Vo)と山崎のアコースティックギターのみでの「H.Apartment」の演奏があったりするのもごく自然だ。

また、客席以外の空間全てのオイルアートのマッピングを行なったことで、視覚から受ける印象がよりダイナミックに。新作のタイトルチューン「Reason of Black Color」でのシンセの膨張するレイヤーと相まって、他にない怒涛のエモーションが増幅されていた。そして、特に呼び込まれることもなく音源でも客演しているタブゾンビ(SOIL&“PIMP”SESSIONS)を迎えての「Hometown」、演奏が終わって彼との共演の経緯と紹介をし、さらにもう1曲、ライヴアレンジでファンクネスあふれる「ice」を披露。卓越した是永亮祐(Ba)のフレージング、大澤実音穂(Dr)のシュアなハイハットワークなど、楽器隊のセンスに唸る。

福永は何度も野外でパフォーマンスする気持ち良さや、オーディエンスのリアクションに感謝を述べていたが、ストイックに演奏し、丹念にエモーションを歌に乗せていく見た目以上に内側では歓喜があふれていたのだと気付く。それはオーディエンスも同様で、自然とハンズアップする人もいれば、体を揺らす人、立ち尽くしている人、それぞれだ。もっと自由に音楽を楽しんでほしいというバンドのスタンスと、さらに大きな場所に行きたいという意思がごく自然に共有されている。“柔らかなアンセム”と呼びたい「MARCH」が本編ラストにセットされ、会場全体を見渡すと、そんな想いがさらに強くなった。

雨のパレードはまだ誰もやったことのない方法で、大きく視界を開いてくれるんじゃないだろうか。野音という都会のオアシスで音とともに深呼吸しながらそう感じた。

撮影:田中聖太郎/取材:石角友香

雨のパレード

アメノパレード:2013 年に結成。ポストダブステップ、80's、インディーR&B、エレクトロハウス、アンビエント、TRAPなど、さまざまなジャンルを超えたその音楽性はもちろん、アナログシンセやサンプラー、ドラムマシーンなどを取り入れた、バンドという形態にこだわらないサウンドメイクで大きな注目を集めている。16年3月に1stフルアルバム『New generation』でメジャーデビューを果たした。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 9

    9.H.Apartment(Acoustic)

  2. 10

    10.You(Acoustic)

  3. 13

    13.Hometown feat. TABU ZOMBIE (from SOIL&“PIMP”SESSIONS)

  4. 14

    14.ice feat. TABU ZOMBIE (from SOIL&“PIMP”SESSIONS)

  5. 15

    15. GOLD

  6. 20

    <ENCORE>

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