オン・ザ・フロントライン。

 2024年6月5日に“ヒトリエ”が両A面シングル『オン・ザ・フロントライン / センスレス・ワンダー[ReREC]』をリリース! 「オン・ザ・フロントライン」は、TVアニメ『無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~』第2クールのオープニングテーマ。「センスレス・ワンダー[ReREC]」は、2014年1月22日に、ヒトリエがメジャー1stシングルとしてリリースした楽曲を、現体制のシノダがボーカルを務める3人体制で再レコーディングしたものとなっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“ヒトリエ”のシノダによる歌詞エッセイを2回に渡りお届け。第1弾では配信リリースされた新曲「オン・ザ・フロントライン」にまつわるお話です。なぜ、このタイトルをつけたのか。10代の頃からずっと胸の内に溢れ続けている想いとは…。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



何かスティール・ボール・ランとかボーイズ・オン・ザ・ランみたいな感じの言葉がきっと合うだろうなと思って色々考えてようやく捻り出せたのがこのタイトルでして、今のヒトリエになかなか相応しいものがつけられたんじゃないかと思います。
 
フロントライン、つまり最前線ですね。
別に自分達が音楽シーンの最先端に居るとは思っていないし、ずっと新しいことに挑戦しているとか、革新的なことをしているとかそういう風に思ってはいなくて、
ただ、わたしにとっての最前線とは現在進行形でバンドを走らせているこの状態であり、
ステージでフロアと対峙しているその瞬間でもあり、
この曲に限らず、過去の曲でもこれから先の曲でも、それがテレビでもラジオでも動画でもサブスクでもライブでもどんな形でもあなたの耳にヒトリエの音楽が届いた瞬間であり、いつでもその瞬間のことを考えているわたしの状態だったりします。
 
とにかく、聴いて欲しい聴いて欲しいという気持ちがこのバンドを始める前、それこそ10代の頃からずっとあってその気持ちが今もパンパンに張り詰めていてずっと苦しい。それは最早執念としか言いようが無く、その執念を燃やして走り続けているうちに多くの人を傷つけ、
沢山のものを失ったような気がするし、自分がまるで異形の怪物になってしまったようにも思う。最早人間のフリをするので精一杯だけどそれは今に始まったことじゃないような気もする。そんなわたしがメジャーの世界で10年も生き延びれたのだからやはり自分は音楽をやるべきだったし、続けるべきだったし、これからもきっとそうなのかもしれない。そうやってここまで生存してきたことをひとつの担保に、まだまだ先の長い未来に足を踏み入れていくのだと思う。
その先に何があるのか、みたいなことを考えられるほど自分は想像力豊かな人間ではないし、
メジャー10周年目のヒトリエの姿を誰が想像出来ただろうか。少なくともわたしにはできませんでした。
 
何だか色々とっ散らかったことをつらつらと述べた気がしますが、こういった気持ちを抱えたまま筆を滑らせていくとあのような歌詞が生まれたりするわけです。無職転生ⅡのOP曲になるのであまり作品世界を乱さないように言葉は選びましたが、割と自分の本音ファーストで書いた歌詞だったりします。
 
今、自分達がオン・ザ・フロントラインの名に恥じぬバンドかと問われれば、全然余裕ッスと胸張って言えるようになるまで多少時間は掛かってしまったかもしれませんが、
まあ、全然余裕ッスね~。
 
<ヒトリエ・シノダ>



◆紹介曲「オン・ザ・フロントライン
作詞:シノダ
作曲:ゆーまお

◆両A面シングル『オン・ザ・フロントライン / センスレス・ワンダー[ReREC]』
2024年6月5日発売