時計

好きです あなた
口には出せないけど
こんな時 別れ際
何を言えばいいの
つらいわ わたし
唇ふるえるばかり
コーヒーカップ細い指
何故か重すぎて

路をゆく人は
ガラス越しに
二人を見てるわ
羨むように
けれども あなたは
はねかえすように
袖口の時計を見た

誰なの あなた
これから逢いに行く人は
ばかね わたしそんなこと
ききたくなかったのに
さよなら言えば
あなたは席を立つから
ふいに言ってしまったの
笑うふりをして

しだいに暮れてゆく
この街にも
やさしく灯るわ水銀灯
けれども あなたは
そのぬくもりを
わたしには
もうくれない

路をゆく人は
ガラス越しに
二人を見てるわ
羨むように
けれども あなたは
はねかえすように
袖口の時計を見た
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