あのね。

「生まれ変わったら」なんて冗談は、
冗談でも言えなくなって。
ようやく慣れた肩の位置さえもいつか忘れるんだ。
あぁ、不器用さごと変わんないね。
誤魔化せない性格だって愛しくて、
君は今でも、慌ただしい春みたいだ。

同じ空、同じ景色を見ていたのに
会えなくなるんだね。
柔い手のひらを思い出している。

あのね。あの日々は大切で。
何でもない一瞬ですら、私には光だった。
祈るように。君が、今も幸せでありますように。
あのね。私、君と恋をしたんだ。
覚えていようね。きっと、ずっと、このまま。

君の名前を呼びたくなって、唇に想い込める。
だけど喉の奥 切なさつっかえて、言えずに。

愛のような、完全無敵の幸福が
ずっと続けばいい。
なんて、わがままをひとり呟いた。

ふいに過去がぼやけるたび、必死に日々を思い出す。
綺麗な虹。薄れないよう、何度も塗り重ねて。
願うように。君のかけら、冷えた両手で包んだら。
月が溶けて夜が動き、今、新しい朝がはじまる。

甘え方さえ、昨日のようだ。
不自然になっていたらごめんね。
神様がくれたロスタイムが正夢になれば。
花降る道、星の余韻。
悪い癖のひとつや、ふたつ。
呆れるほどに似ていない二人。
多分、奇跡だったよね。

あのね。あの日々は永遠でね。
人はつねに忘れながら生きてゆくものだとしてもさ。
覚えていようね。きっと、ずっと。また、出会うときまで。
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