歌ネットで上半期もっとも歌詞が見られた楽曲は、SEKAI NO OWARIの「RPG」(576,690回)。「映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!」主題歌として話題を呼んだ同曲は、映画の物語を盛り上げる”仲間””冒険”をテーマにした歌詞と、斬新で壮大なファンタジーミュージックが、流行に敏感な若者のハートを掴んだ結果となった。
SEKAI NO OWARIは、2011年のメジャーデビューから3ヶ月で日本武道館ワンマン公演を行い、メジャー1stアルバム「ENTERTAINMENT」が第54回レコード大賞 優秀アルバムを受賞するなど、今もっとも旬なバンド。ファンタスティックな世界へと誘う歌詞もあれば、生と死、平和と戦争といった対極の世界を歌う歌詞もあり、ヴォーカル・Fukaseの優しい歌声との化学反応が、青春の希望と葛藤を見事に表現している。
そんな彼らのヒットの裏には、新規ファンを開拓していく着実な努力(戦略)が見受けられる。ドラマ&アニメ主題歌などのタイアップはもちろんだが、「RPG」をリリースした翌月には、ボーカロイドPとしても話題のLivetuneの楽曲にFukaseがヴォーカルとして参加したり、関ジャニ∞の新曲の楽曲提供を行うなど、精力的な活動が相乗効果を生み出している。また、LADY GAGAやMADONNAのライブプロモーターとして知られるLive Nationと提携し、海外プロジェクトを展開するなど、これまでになかった世代や層へ切り込んだことが、大きな成果を収めた結果と言えるだろう。
 



歌ネット上半期楽曲別ランキング (2013年発売楽曲のみ・歴代ランキング詳細)
順位 レコチョク 曲名 歌手名 発売日 タイアップ
1 17 RPG SEKAI NO OWARI 5/1 アニメ
2 59 片想い。〜リナリア〜 ソナーポケット 5/15 番組
3 7 スターラブレイション ケラケラ 5/15 ドラマ
4 35 ミラクル miwa 4/24 CM
5 61 Deeper Deeper ONE OK ROCK 1/9 CM
6 22 Last Love Rihwa 6/5 ドラマ
7 28 Believe 西野カナ 6.5 CM
8 3 恋する季節 ナオト・インティライミ 4/17 CM
9 65 イカロス GReeeeN 4/17 CM
10 11 ありがとう FUNKY MONKEY BABYS 2/27 番組
11 2 にんじゃりばんばん きゃりーぱみゅぱみゅ 3/20 CM
12 26 桜color GReeeeN 2/27 CM
13 - Endless Game 5/29 ドラマ
14 4 誕生日には真白な百合を 福山雅治 4/10 ドラマ
15 6 VOICE AI 2/13 ドラマ
16 13 月と太陽 ケツメイシ 5/22 ドラマ
17 - Breathless 6/5 映画
18 - BEST FRIEND GReeeeN 6/19 CM
19 45 アイアイのうた〜僕とキミと僕等の日々〜 C&K 1/16 番組
20 40 Love You More GENERATIONS from EXILE TRIBE 5/15 CM
21 16 Dance My Generation ゴールデンボンバー 1/1  
22 - ホイッスル〜君と過ごした日々〜 miwa 1/16 番組
23 - ふりそでーしょん きゃりーぱみゅぱみゅ 1/30 CM
24 76 HEROES GReeeeN 5/15 ドラマ
25   憂、燦々 クリープハイプ 5/1 CM
26 47 ミュージック サカナクション 1/23 ドラマ
27 25 ソナーポケット 2/6 映画
28 10 REASON ゆず 1/9 アニメ
29 8 イロトリドリ ゆず 5/1 CM
30 - さよなら大好きだったよ ケラケラ 2/27 番組


上半期楽曲別ランキングを見てみると、上位30曲中29曲にタイアップが付いており、ネット社会と言われる時代でも、テレビの影響力の大きさが分かる。特に、CMは全体の4割にあたる12曲、ドラマは8曲がランクインしていることがそれを物語っている。CMは、有名芸能人を起用する資生堂SEA BREEZEやアネッサ、カルピス、ユーキャンのCMソングがランクインしており、大量O.Aをすることで、商品名=出演タレント=音楽が一つに結びつく効果はやはり絶大。加えて、スマートフォンの普及により、いわゆる“ながら族”的に、CMを見て気になったらすぐ歌詞を検索できる環境の利便性も影響しているだろう。また、ドラマは高い視聴率を記録した「ラスト シンデレラ」から主題歌(ケラケラ「スターラブレイション」)と挿入歌(「Last Love」Rihwa)の2曲がランクインしていることから、視聴率と相対的な関係にあることは明快だ。逆に、アニメ主題歌は30曲中2曲のみと、アニメ全盛の時代にあって、意外な結果に終わっている。

上半期アーティスト別では、国民的アイドルグループ・嵐が堂々の1位に輝いた。相変わらずのTV露出の多さに加え、メンバーが主演するドラマや映画主題歌を担当する戦略は、やはり抜群。実際、曲別ランキングにランクインしている2曲は、ともメンバーが主演しているドラマと映画主題歌。ちなみにアーティスト別ランキング12位で、ジャニーズアーティストとしては嵐の次に位置する関ジャニ∞も、嵐と近い戦略を取ったことで、ランキングが急上昇している。その上で、嵐が他のジャニーズアーティストと違うところを挙げるとすると、名前のあるアーティストが楽曲提供することが多い他のジャニーズアーティストに比べ、嵐はある程度固定の制作グループが楽曲提供をしており、“嵐をどう売るか、どう見せるか”の一点をブレずに売り出せていることが、結果に繋がっていると言えるだろう。

 
2013年にデビューしたアーティストで、唯一曲別ランキングに名を連ねたのが、3人組ユニット”ケラケラ。デビュー時からポスト・いきものがかりといわれ期待を集めた彼らは、デビューシングル「さよなら大好きだったよ」が、いきなり歌ネットで5日連続デイリー1位を記録。そのポテンシャルの高さを見事に証明した。そしてドラマ「ラスト シンデレラ」主題歌となった2ndシングル「スターラブレイション」は、回を追うごとに上昇した視聴率と共に歌詞アクセス数も急上昇。歌ネットタッチ(スマートフォン)では、6/14から18日連続デイリー1位(7/1現在)という快挙も達成した。とにかく彼らの楽曲の良さは随一で、9月にリリースする勝負シングル3rdシングル「友達のフリ」の大ヒットは、もはや確実と言えるだろう!
 
 
 
2013年上半期、話題を振りまいたバンドといえば、蒼井優出演の資生堂アネッサ2013CMタイアップソング「憂、燦々」がヒットした4人組バンド“クリープハイプ”が挙げられるだろう。「社会の窓」「ラブホテル」などインパクトと遊び心を忘れないタイトルに、ついつい歌詞の内容が気になって検索してしまう。そんなユーザーも多かっただろう。また、少年のようなハイトーンボイスは、一回耳にしたら、頭から離れなくなる中毒性がある。7月にリリースするメジャー2ndアルバム「吹き零れる程のI、哀、愛」も、話題作&問題作も盛りだくさんなので、下半期も彼らから目が離せない!