いろいろわかる… 石川ひとみ スペシャル・ロングインタビュー!

 

石川ひとみ、ロングインタビュー!「こんなこと言うの初めてなんですけど…」歌手デビュー 45周年、10枚目となるオリジナルアルバム『笑顔の花』が 2023年 7月19日に発売! 自身が作詞した曲も 4曲 収録! 限定 BOX には ライブ DVD が付属! 変わらない、キラキラしたオンリーワンの歌声!



インタビューの最後に、読者プレゼントあり!



Ishikawa  Hitomi

石川 ひとみ

10th Album『 笑顔の花 』


★ 1978年、シングル『右向け右』で歌手デビュー!

★ ルックスも実力も兼ね備えた新人アイドル歌手として人気に!
★ 1981年には『まちぶせ』が大ヒット!
★『プリンプリン物語』『みなしごハッチ』などの声優としても活躍!
★ 2018年に 35年ぶりとなるアルバムをリリースし、本格活動再開!

★ 歌手デビュー 45周年、10枚目となるオリジナルアルバム!
★ 4曲で作詞も担当、セルフカバーのライブ音源も2曲収録!
★ 限定 BOX には、昨年、2022年のライブ DVD が付属!

★ 変わらない、キラキラしたオンリーワンの歌声!
★「こんなこと言うの初めてなんですけど…」

 

 

45周年記念アルバム発売!
 
 
 


■ リリース情報
 
 
 
石川ひとみ 「笑顔の花」【通常盤】
アルバム CD
2023年 7月19日 発売
TECL-1006
¥3,300
テイチクエンタテインメント
 
<収録曲>
01 笑顔の花 (作詞:石川ひとみ・真名杏樹 作曲:島袋 優)
02 風薫花〜kazekaoruhana〜( 作詞・作曲:CHIHIRO)
03 さよならの雨 (作詞:昆 真由美 作曲:岩田秀聡・永野大輔)
04 こんなにも愛してる (作詞・作曲:中田裕二)
05 粉雪のぬくもり (作詞:石川ひとみ・真名杏樹 作曲:岩田秀聡・永野大輔)
06 アシタノ風 (作詞:石川ひとみ 作曲:山田直毅)
07 道化師のソネット (作詞・作曲:さだまさし)※カバー
08 zankyouhanabi (作詞:石川ひとみ・梅口敦史 作曲:梅口敦史)
09 やさしくなりたいだけ (作詞:山田ひろし 作曲:松本俊明)
10 ひとりじめ【Live ver.】 (作詞・作曲:天野滋)※1982年 シングル曲
11 さよならの理由【Live ver.】 (作詞:竜 真知子 作曲:林哲司)※1983年 アルバム曲
 
※ 全編曲:山田直毅
 
 
 
 
 
石川ひとみ 「笑顔の花」【テイチクオンラインショップ限定 BOX】
BOX(アルバム CD + DVD + フォトブック + アクリルスマホスタンド + 4サイズポートレイト)
2023年 7月19日 発売
TEL-3
¥13,200
テイチクエンタテインメント
 
<CD 収録曲>
01 笑顔の花 (作詞:石川ひとみ・真名杏樹 作曲:島袋 優)
02 風薫花〜kazekaoruhana〜( 作詞・作曲:CHIHIRO)
03 さよならの雨( 作詞:昆 真由美 作曲:岩田秀聡・永野大輔)
04 こんなにも愛してる (作詞・作曲:中田裕二)
05 粉雪のぬくもり (作詞:石川ひとみ・真名杏樹 作曲:岩田秀聡・永野大輔)
06 アシタノ風 (作詞:石川ひとみ 作曲:山田直毅)
07 道化師のソネット (作詞・作曲:さだまさし)※カバー
08 zankyouhanabi (作詞:石川ひとみ・梅口敦史 作曲:梅口敦史)
09 やさしくなりたいだけ (作詞:山田ひろし 作曲:松本俊明)
10 ひとりじめ【Live ver.】 (作詞・作曲:天野滋)※1982年 シングル曲
11 さよならの理由【Live ver.】 (作詞:竜 真知子 作曲:林哲司)※1983年 アルバム曲
 
※ 全編曲:山田直毅


<DVD 収録内容>
「石川ひとみコンサート2022~おかげさまで45年目に入っておりますがこれからもどうぞよろしくおねがいいたします~」
(2022年10月7日 北とぴあ つつじホールにて行われたコンサートの映像)
 
夏の終わりと麦わら帽子 
長そでのカーディガン
もんしろちょう 
秋の行方 
置き忘れたメモリー 
赤い靴
君の声
道化師のソネット
わたしの毎日
にわか雨 
まちぶせ
ハート通信 
ベリバービリバー 
君は輝いて天使にみえた 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

■ 番組情報
徹子の部屋
2023年 8月23日 (水) 13時〜
テレビ朝日

番組サイト

 

 

■ キャンペーン情報
石川ひとみ デビュー45周年記念アルバム「笑顔の花」
リリース記念 インストアイベント

7月23日(日) 埼玉・ららぽーと新三郷 1F スカイガーデンステージ ①13:00~ / ②15:00~
8月06日(日) 東京・タワーレコード 渋谷店 B1 CUTUP STUDIO  ⇒ 開催延期
9月01日(金) 東京・タワーレコード 新宿店 9F イベントスペース19:30~
9月17日(日) 埼玉・ピオニウォーク 東松山 1F ピオニコート ①13:00~ / ①15:00~

イベント情報

 

 

■ コンサート情報
石川ひとみ デビュー 45周年 記念コンサート 〜笑顔の花〜

開催日時: 2023年 10月1日 (日) 15:30 開場 / 16:30 開演
開催会場: ニッショーホール 東京都港区東新橋1-1-19
チケット: ¥8,000 (税込)
主 催 : 株式会社 SAZAE 
協 力 : テイチクエンタテインメント

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チケット購入 チケットペイ

 

 




■ 石川ひとみ スペシャル・ロングインタビュー

 

 

 石川ひとみの歌声は、耳にすると一瞬でわかる。透明感があって、伸びやかで、キラキラしていて、キュート。チカラの抜けた豊かでなめらかな声の響きと、安定感のある歌唱で、言葉がよく伝わってくる。こんな歌声の歌手は、後にも先にも、石川ひとみしかいない。まさに、唯一無二の歌声と言える。

 

 そして、歌手デビュー 45周年を迎えた今でも、その歌声の輝きは変わらないどころか、年齢を重ねた深みが増している。

 

 キャンディーズが解散したその翌月、1978年5月25日に、同じ『渡辺プロダクション』から、シングル『右向け右』(作詞:三浦徳子、作曲:宮川泰、編曲:竜崎孝路)でデビューした石川ひとみ。同年 9月に発売された 2ndシングル『くるみ割り人形』(作詞:三浦徳子、作曲:馬飼野康二、編曲:大村雅朗)で、『第9回 日本歌謡大賞』ノミネート、『第7回 FNS歌謡祭・音楽大賞』優秀新人賞、ニッポン放送主催の『第8回 銀座音楽祭』大衆賞、文化放送主催の『第11回 新宿音楽祭』銀賞、ラジオ日本主催の『第5回 横浜音楽祭』新人賞など、新人賞レースで各賞を受賞。アイドル歌手としては、ピンク・レディーが圧倒的な人気を誇った当時、世良公則&ツイスト、サザンオールスターズ、渡辺真知子、さとう宗幸……らニューミュージック系の新人アーティストが注目を浴びる中、ルックスも実力も兼ね備えた新人アイドル歌手として人気となった。

 

 翌年、1979年4月からは、NHKの人形劇『プリンプリン物語』で、主役「プリンセス・プリンプリン」の声と主題歌を担当。その後、『ハート通信』(作詞:松本隆、作曲:吉田拓郎、編曲:馬飼野康二)、『ミス・ファイン』(作詞:康珍化、作曲:伊藤薫、編曲:井上鑑)、『秋が燃える』(作詞:岡田冨美子、作曲:佐瀬寿一、編曲:渡辺茂樹)、『夢番地一丁目』(作詞:山上路夫、作曲:芳野藤丸、編曲:渡辺茂樹)などをリリース。

 

 そして、1981年4月に発売された『まちぶせ』(作詞・作曲:荒井由実、編曲:松任谷正隆)の大ヒットで、一躍、本人の望んでいた「誰もが知る歌手」となった。

 

 その後も、『三枚の写真』(作詞:松本隆、作曲:大野克夫、編曲:葦沢聖吉)、『ひとりじめ』(作詞・作曲:天野滋、編曲:大谷和夫)、『君は輝いて天使にみえた』(作詞・作曲:天野滋、編曲:若草恵)、『にわか雨』(作詞:岡田冨美子、作曲:西島三重子、編曲:松任谷正隆)などの名曲を次々とリリースするとともに、『レッツゴーヤング』(NHK)、『クイズ・ドレミファドン!』(フジテレビ)の司会も担当するなど順風満帆だったが、1987年に、現代の医学では完治することが難しいと言われている 慢性B型肝炎を発症して入院、休業を余儀なくされた。 

 

 それでも、翌 1988年には早くも復帰し、1989年には、アニメ『昆虫物語 みなしごハッチ』(フジテレビ)のリメイク版で主人公ハッチの声優と主題歌を担当。その後も、NHK 教育テレビ『母と子のテレビタイム(日曜版)』(ニャンちゅうワールド放送局)などにも出演。1999年には、子供向けのアルバム CD『HOME・MADE -ただいま-』をリリースした。

 

 さらに、2004年からは、「BEGIN」が考案した楽器「一五一会」をフィーチャーしアルバム『みんなの一五一会』シリーズが 3作制作され、ベスト盤を含め 全5作が発売されている。

 

 病気からの復帰後は、音楽活動に加え、ファミリー向けの活動、講演活動など、ペースを落としながら続けていたが、デビュー40周年となった 2018年6月20日には、1983年のアルバム『プライベート』以来、実に 35年ぶりとなる 9枚目のオリジナル・アルバム『わたしの毎日』をリリースし、ソロ・コンサートも開催するなど、本来の「歌手・石川ひとみ」としての活動を本格的に再開。2021年5月19日には、初の無観客配信ライブを収録した DVD『石川ひとみ LIVE「わたしの毎日」』が、2022年3月30日には、ライブ Blu-ray『石川ひとみコンサート2021』が発売された。

 

 そして、今年、2023年7月19日には、通算10枚目となる デビュー45周年記念アルバム『笑顔の花』が発売となった。

 

 新作オリジナル・アルバム『笑顔の花』には、自身も作詞を手がけた 4曲を含む オリジナルの新曲 8曲に加え、コンサートでも好評の さだまさし『道化師のソネット』(作詞・作曲:さだまさし)のカバー、そして、1982年のシングル曲『ひとりじめ』(作詞・作曲:天野滋)と、1983年のアルバム収録曲『さよならの理由』(作詞:竜 真知子、作曲:林哲司)のライブ音源が収録されている。

 

 作曲陣には、森口博子『夢が MORI MORI』や MISIA『忘れない日々』『Everything』などのヒット曲を手がけた 松本俊明や、「BEGIN」のメンバーの 島袋 優 らに加え、CHIHIRO や 中田裕二 といった J-POP で若者に人気のシンガーソングライターも参加しており、新しくも、どこか昔の歌謡曲の雰囲気もある。

 

 なにより、変わらない、伸びやかでキラキラした優しい歌声で、心地よく、ずっと聴いていたくなるアルバムになっている。

 

 また、「テイチクオンラインショップ」限定 BOX には、昨年、2022年10月に行われたコンサートのライブ DVD が付属しており、アンコールで歌われた 1983年のアルバム収録曲の名バラード『Tenderly』(作詞:田口俊、作曲:林哲司)が収録されているのも、往年のファンにとっては嬉しい。

 

 いつまでたっても、明るくさわやか、エレガントでキュートなイメージが変わらない人だ。

 

 

<もくじ>

1 デビュー45周年記念アルバム
  〜「とにかく優しくなりたいんですよ…」〜

2 最新アルバム収録曲 4曲で作詞
  〜「素直な言葉の方が心に入ってくるし…」〜

3 カバー曲とライブ音源も収録
  〜「あれが、私のそのままですから…」〜

4 歌手デビュー45周年
  〜「もう仕事できないと思ってました…」〜

5 歌手デビューのきっかけ
  〜「ウソつくのがイヤなんですよ…」〜

6 『まちぶせ』の大ヒット
  〜「この曲をリリースしてやめよう…」〜

7 変わらない唯一無二の歌声
  〜「こんなこと言うの初めてなんですけど…」〜

 

 

1 デビュー45周年記念アルバム 〜「とにかく優しくなりたいんですよ…」〜

 

ーー 今年、2023年7月19日に発売となった、通算10枚目となる デビュー45周年記念アルバム『笑顔の花』には、自身も作詞を手がけた 4曲を含む オリジナルの新曲 8曲に加え、コンサートでも好評の さだまさし『道化師のソネット』(作詞・作曲:さだまさし)のカバー、そして、1982年のシングル曲『ひとりじめ』(作詞・作曲:天野滋)と、1983年のアルバム収録曲『さよならの理由』(作詞:竜 真知子、作曲:林哲司)のライブ音源が収録されている。新しくも、どこか昔の歌謡曲の雰囲気もあり、何より、変わらない、伸びやかでキラキラした優しい歌声で、心地よく、ずっと聴いていたくなるアルバムになっている。

 

石川: ありがとうございます。出来上がって「思った以上にいい感じになってるな〜」って思います。やっぱりいろいろな楽曲がありますし、アレンジもそうですし、「今まであまり歌ってきたことないかもしれないな」っていうような曲調もあったりとかして、なんか、いろんな面の自分の声を、自分でも出したり聴いたりすることができたので、「とてもいいアルバムが出来たな〜」って思ってます。全部、いい曲で気にいってますし、全てが愛おしくて……。

 

ーー アルバム 1曲目に収録されており、アルバムタイトルにもなっている『笑顔の花』(作詞:石川ひとみ・真名杏樹、作曲:島袋 優)は、「BEGIN」のメンバー 島袋 優 による作曲。石川ひとみは、2004年から、「BEGIN」が考案した楽器「一五一会」をフィーチャーしアルバム『みんなの一五一会』シリーズも発表している。

 

石川:(プロデューサーで夫の)山田直毅さんが、もともと「BEGIN」さんのプロデュースをしたりとか、楽曲を提供したりとか、デビューの頃からじゃないかな……、「BEGIN」さんには ず〜っと関わっていて、それで、そんなこんなで「一五一会」っていう楽器ができた時に、まず、(山田)直毅さんの方に、「BEGIN」さんの方から「こういう楽器があるんだけど……」って話があって、「ひとみさん歌ってくれませんかね〜?」みたいな話で、私はそれで「一五一会」のシリーズのアルバムで歌わせていただいて、その流れで、今回は、島袋 優 くんに頼んだんです。前回、40周年の時(2018年のアルバム『わたしの毎日』)は、等くん(「BEGIN」の 上地 等)に頼んだりしてるんですけど(『願いはひとつ』)、今回は、島袋 優 くんに『笑顔の花』を書いていただきました。

 

ーー プロデューサーであり、ギタリストであり、石川ひとみの夫でもある 山田直毅 は、もともと、「キャンディーズ」のバックバンド「MMP」(ミュージック・メイツ・プレイヤーズ)でギターを弾いていて、「キャンディーズ」への楽曲提供や編曲も担当し、その後、石川ひとみのバックバンドでリーダーを務めていた。今回のアルバムでも、プロデュースとともに、ギターと、全曲の編曲を担当している。

 

ーー 今回、新作アルバム『笑顔の花』では、CHIHIRO や 中田裕二 といった J-POP で若者に人気のシンガーソングライターも楽曲を提供している。

 

石川: うん、そうですね、初めてです。もちろん、知ってましたけど、その方たちの楽曲を歌うのは初めてなんで、これまでとは、全然、違うタイプの曲ですけど……。

 

ーー たしかに、これまでの 石川ひとみ の曲にはなかったような曲だが新鮮だ。たとえば、若者の間で「恋愛ソングのカリスマ」と言われている CHIHIRO による『風薫花 ~kazekaoruhana~』(作詞・作曲:CHIHIRO)は、和のイメージのマイナー調ミディアムバラードで、言葉が耳に残るいい歌だ。

 

石川: あ〜、よかったです〜。ねっ、ちょっとお琴なんかも入ってたりして……。一番最初にデモテープでいただいたのは『風薫花 ~kazekaoruhana~』だったんですけど、「これはいい曲だわ〜」と思って、「早く歌いたいな〜」と思いましたね。

 

ーー 中田裕二 による『こんなにも愛してる』(作詞・作曲:中田裕二)は、AOR風の おしゃれなマイナー調バラードだ。

 

石川: 『こんなにも愛してる』は、デモテープでは、もうちょっと違う雰囲気があったんですけど、最初、「あ〜、こういう感じも歌ったことないな〜」って思っていたんですが、でも、いざ覚えて歌ってみると、すごく心地よく歌えますし、なんかとても中音な感じで、とても素敵な曲になりましたね。

 

ーー サビの「♪もう忘れて私がいるから」が耳に残るが、この曲では、とくに、中低域の声の響きが新鮮だ。最初の出だしが、これまで聴いたことのないくらい低い。

 

石川: あ〜、うんうん……、そうかもしれないですね。

 

ーー 変わらない歌声の良さがとくに感じられるのが、『粉雪のぬくもり』(作詞:石川ひとみ・真名杏樹、作曲:岩田秀聡・永野大輔)だ。

 

石川: あ〜、そうですか〜。うれしい〜、ありがとうございます。あれは、ちょっと自分でも(詞を)書いたりなんかしてますけどね。

 

ーー さらに、「♪どこまでも果てなく 風吹くなら」という印象的なサビからはじまる、マイナー調でオリエンタルな雰囲気の『アシタノ風』(作詞:石川ひとみ/作曲:山田直毅)や、森口博子『夢が MORI MORI』や MISIA『忘れない日々』『Everything』などのヒット曲を手がけた 松本俊明 が作曲し、スターダスト☆レビュー『木蘭の涙』などを手がけた 山田ひろし が作詞した、メジャー調ミディアムアップの『やさしくなりたいだけ』(作詞:山田ひろし、作曲:松本俊明)も歌声の魅力が際立つ曲だ。「♪今は た〜だ〜 やさしくなりた いだけ〜」が、一度、聴いただけで耳に残る。

 

石川: あ〜、ありがとうございます。この『やさしくなりたいだけ』の歌詞の打合せの時に、「今、どういう感じですかぁ〜?」って、(作詞の)山田ひろしさんがね、いろいろ質問してくださったりとかしたんです。その打ち合わせの時に、「今ね、私、優しい人になりたいし、親切な人にもなりたいと思うし……、とにかく優しくなりたいんですよ、私……」っていう話をしたんですよ。それで、「(歌詞が)できたよ」って時に見たら、『やさしくなりたいだけ』ってなってて、「わぁ〜うれしい〜」って……(笑)。

 

ーー 作詞の 山田ひろし から、「どんな歌詞がいいですか?」と聞かれたわけではなく、リサーチをして書いたということだ。

 

石川: うん、そうなんですよ。「今、どんな感じですか?」とか、「今、どんな感じのことを考えてる」とか「思ってる」とか、そういう雑談です。その中で、ちらっと「優しくなりたいんですよね〜」って言っただけなんですよ。

 

石川: あの……、本当は、みんな人間は、最初はとっても優しくて親切で思いやりがあって愛に溢れているはずなのに、やっぱり今の世の中を見ると、とてもさみしい感じになっていたりするところもあると思うんです。なので、「本来の人間の優しさ」とかね、そういうことを今すごく思ってて、「私自身も優しくなりたいんです」みたいな……(笑)。それで、「もっと優しい人になりたい」っていうような話をして、出来てきたのが『やさしくなりたいだけ』だったんで、とても嬉しかったですね。それでいて、普遍的な詞でね……。

 

2 最新アルバム収録曲 4曲で作詞 〜「素直な言葉の方が心に入ってくるし…」〜

 

ーー 新作アルバム『笑顔の花』では、収録 全11曲中 4曲で作詞も担当している。前作のアルバム『わたしの毎日』でも『君の声』で 歌詞を共作した 梅口敦史(バンド「Black Bottom Brass Band」メンバー)との『zankyouhanabi』(作詞:石川ひとみ・梅口敦史、作曲:梅口敦史)や、真名杏樹(作曲家 船村徹の長女で作詞家、岡本真夜『TOMORROW』を共作)と共作した『笑顔の花』(作詞:石川ひとみ・真名杏樹、作曲:島袋 優)と『粉雪のぬくもり』(作詞:石川ひとみ・真名杏樹、作曲:岩田秀聡・永野大輔)、そして、『アシタノ風』(作詞:石川ひとみ、作曲:山田直毅)だ。 いずれも、メロディが先にあって、それに歌詞を付けた。

 

石川: あっ、今回はそうですね、私が書いたのは、全部、曲先ですね。曲が先にあって、そこからイメージ膨らませて……。で、「この曲は、ちょっと激しい感じっていうか、ちょっと強い感じだな〜」って思って書いたのが『アシタノ風』なんです。やっぱり生きてれば、いろんな出来事と遭遇して、いろんな思いになったりする……。

 

だけれども、やっぱり風はつかめないものだけど、でも、気持ち的にね、「明日も明後日も、もっともっと成長していきたいな〜」とか、「強くなっていきたいな〜」とか、そんな思いを書けたらいいなって。「今のそのつらさも苦しさも、全て自分の栄養にしたいな〜」みたいな……、そんな想いで書いてみました。

 

ーー 歌詞は、すぐにできるものなのだろうか?

 

石川: いや……、すぐじゃないです。やっぱり、最初にイメージがあって、殴り書きとか、あと、そこら辺にある紙に「あっ、こういう言葉いいな〜」とかって書いたりなんかしてますね。で、1回は、ささっと書いてみるんだけど、そのあと(メロディに)あててみたりとかして、「でも、なんか歌っぽくないな〜」とかね、「もっと違う表現ないのかな〜」とかね、いろいろ自分でも思ったりとかして悩んだりとかします、何日も何日も……。

 

石川: で、一切「もう1回やり直し〜」みたいな感じになったりとかもしますし、「これ、どうかな〜?」とか(スタッフに)聞いてみて、いろんな意見をもらって「なるほどな〜」みたいな感じでなおしていったりとか、言葉を探っていったりとかですね。でも、なんか、すごく難しい言葉じゃなくて、誰が聴いてもわかるようなね、そういう言葉じゃないと、本来、みんな歌詞見ながら……、まあ、CD はね、そうかもしれないけど、ステージとかは、そこで初めて聴いたりすることもあるじゃないですか。「今、なんて歌ってたんだろうな?」ってなるよりも、素直な言葉の方が心に入ってくるし、そんなことも考えながら書いてます。

 

ーー 『笑顔の花』(作詞:石川ひとみ・真名杏樹、作曲:島袋 優)では、「♪小さな幸せは 見えない宝物 失ってはじめて その重さに気付くの」のところが耳に残る。

 

石川: あ〜、ありがとうございます。それ、ホントにそう思って……。

 

ーー サビの「♪いいじゃない」もうまく乗せてある。メロディとのマッチングがいい。

 

石川: あ〜、ありがとうございます。この「♪笑えるなんて いいじゃない」っていうのは、一番最初に出てきて、ここは変えなかったです。

 

ーー 真名杏樹との共作の歌詞は、どういうふうに制作されたのだろう?

 

石川: あ〜、結構、なおしたり、なおされたり……、ですね。「私がそんなことしていいのか」って思うくらい、「いや、この言葉じゃなくて、この言葉がいい」みたいなことも言っちゃったりなんかして、「失礼だったな」とか本当に思ってるんですけど、でも、やっぱり自分が歌うので、「納得いかないと」と思うとね……、うん。で、そこに信憑性もないとね、歌の気持ちのね、と思っていろいろ話したりとか、あとメールでやり取りしたりとか……、あと、自分で「こんなようなイメージ」っていうのをメールで打って、送ったりとかしながら、受けて返して、返して受けてみたいな感じでしたね。

 

ーー 最初にベーシックなものを自分で書いたあとは、頻繁にやりとりしながら一緒に作り上げるという感じだったようだ。

 

石川: そうですね〜。結構、頻繁にやりとりして。

 

ーー そもそも、石川ひとみが最初に作詞をしたのは、1982年に発売された 15枚目のシングル『冬のかもめ』(作詞:康珍化、作曲:西島三重子、編曲:鷺巣詩郎)のカップリング曲『いつわり』(作詞:石川ひとみ、作曲:山田直毅、編曲:松任谷正隆)で、そのあと、1983年の 18枚目のシングル『恋』(作詞:岡田冨美子、作曲:玉置浩二、編曲:萩田光雄)のカップリング曲『何も言わないで』(作詞:石川ひとみ、作曲:田中真美、編曲:鷺巣詩郎)も作詞をしている。

 

石川: そうですね、カタチになったものは……。でもね、ステージではね、デビューして初めてのファーストコンサートでも、自分で詞を書いたものを 1曲か 2曲 歌ってるんですよ。そのあとも、「ステージだけで歌う」っていうことで作詞して、(レコードとかカセットとか)何にもなってないものも歌ってます。

 

ーー 自身が作詞をしていて、コンサートでは歌っていたが、レコード化されていない未発表の曲があるということだ。

 

石川: はい、何にもなってないです……。

 

ーー それらの曲は、誰が作曲をしていたのだろう?

 

石川: 作曲は、一番最初のコンサートで歌った曲は、チャッピーさん(渡辺茂樹)が曲を書いてくださってて、そのあと、(現在、プロデューサーで夫の)山田直毅 さんも書いてくれて……、っていう感じですね。

 

ーー 渡辺茂樹 は、もともと「ザ・ワイルドワンズ」のメンバーで、山田直毅 と同じく「キャンディーズ」のバックバンド「MMP」にも参加し、「キャンディーズ」の作曲や編曲も担当している。石川ひとみでは、『秋が燃える』(作詞:岡田冨美子、作曲:佐瀬寿一、編曲:渡辺茂樹)、『夢番地一丁目』(作詞:山上路夫、作曲:芳野藤丸、編曲:渡辺茂樹)の編曲なども手がけている。

 

ーー その幻の曲も聴いてみたくなる。

 

石川: ないんですよ、あははは……(笑)、コンサートでも今はもう歌ってないですしね。レコードになってない、テープにも録ってない、譜面もその時のバンドしか持ってませんしね、詞はどっかにあると思うんですけど……。あの頃って録音もしないからね。そうなんですよ、幻なんですよ……(笑)。あと 2〜3曲あったかな、幻が……。

 

ーー そもそも、デビュー当時から作詞はやりたかったのだろうか?

 

石川: それがね……、別にそんなこと考えてなかったんですよ、本当に。とにかく、私は歌が歌いたいわけだから、もうとにかく歌が歌いたい……。でも、最初のファーストコンサートの時に、「ちょっと(歌詞を)書いて」って言われて、「ああ……、はい……」みたいな感じで書いたのが曲になった時は、「あ〜、こんな素敵な曲になるんだ〜!」とちょっと驚き……、感動しましたね。そのファーストコンサートの時は、一番最後、ラストの曲として 1曲 歌ったのかな……。

 

 

3 カバー曲とライブ音源も収録 〜「あれが、私のそのままですから…」〜

 

 

ーー 新作アルバム『笑顔の花』には、1曲だけ カバー曲も収録されている。さだまさしの『道化師のソネット』(作詞・作曲:さだまさし)だ。

 

石川: はい、去年、「北とぴあ」でのコンサート(2022年10月7日『石川ひとみ コンサート 2022 ~おかげさまで45年目に入っておりますがこれからもどうぞよろしくおねがいいたします~』)でも歌ったんですけど、そのコンサートの前に、「そういえば……、20代のころに、さださんの歌をテレビで歌ったことがあるな……」とふと思って、それが『道化師のソネット』だったんですよ。

 

石川: 「あ〜んないい曲歌ってて、そういえばあれ以来、今までどこでも歌ったことないな〜」って思って、それで、まずコンサートで歌ってみて、「いいね〜」なんていうことになって、「じゃあ、今度のアルバムにカバー1曲入れようか〜」って思って入れたっていう感じなんですよ。だから、若い頃にテレビで歌ってる曲なんです。

 

ーー 石川ひとみの歌声にぴったりの曲だ。

 

石川: ああ、そうですか〜、ありがとうございます〜。あと、実は、今回の(アルバム収録曲の)『笑顔の花』にもぴったりで、(『道化師のソネット』の)「♪笑ってよ 君のために 笑ってよ 僕のために」って、まさしく『笑顔の花』(作詞:石川ひとみ・真名杏樹、作曲:島袋 優)にもそういう意味も込めてるんですよ。

 

石川:「いつも笑顔で、苦しいけど笑顔になれること」って、やっぱり、いろんな人のチカラを借りてね、その時はどん底で苦しいかもしれないけど、そこから這い上がれた時、それこそ、この『笑顔の花』のコンセプトでもあるように、「あんなことあったね〜」って笑顔で笑える……。

 

石川: で、『道化師のソネット』の中にも、2番の歌詞で、「♪いつか真実(ほんと)に 笑いながら話せる日がくるから」ってあるんですけど、「いつかは、そうやって、笑って話せる日が来るよ〜」って……。もう「そうだな〜!」って、私なんか、もう鳥肌もので……。あとから思ったんですけど、「この曲(『道化師のソネット』)入れてバッチリだった!」って思いました。

 

ーー そして、過去の自身のオリジナル曲の中から、2曲のライブ音源も収録されている。1982年に発売された 13枚目のシングル曲『ひとりじめ』(作詞・作曲:天野滋)と、病気で活動休止する前、NAV レコード / キャニオン・レコード 時代の最後のアルバム、1983年に発売された『プライベート』の 1曲目に収録されていた『さよならの理由』(作詞:竜 真知子、作曲:林哲司)だ。これらは、2021年4月4日に東京・羽田の「TIAT SKY HALL」で開催された無観客配信ライブからの音源が収録されている。

 

石川: あっ、そうですね。初めての無観客の……、うん。

 

ーー 『ひとりじめ』は、その次に発売されたシングル『君は輝いて天使に見えた』(作詞・作曲:天野滋、編曲:若草恵)と並び、「NSP」でも活躍した 天野滋 による書き下ろし。2曲とも、ファンには人気の曲だ。

 

ーー そして、『さよならの理由』も、アルバム曲ながら人気の曲で、近年のシティポップ・ブームに加え、デビュー50周年ということもあり再注目されているシティポップを代表する作曲家 林哲司 による書き下ろし曲。林哲司は、松原みき『真夜中のドア』、竹内まりや『セプテンバー』、杏里『悲しみがとまらない』、上田正樹『悲しい色やね』、「杉山清貴&オメガトライブ」の全シングル……などの作曲や編曲で知られている。

 

石川: はい、そうですね。この間、林(哲司)さんと、ちらっとすれ違う機会があって、林(哲司)さんに、「今回の45周年のアルバムに『さよならの理由』を入れさせていただきます」って言ったら、「あ〜、嬉しい〜!」とか言ってくださって、「ああ、ちゃんと覚えててくださってるんだな、私に書いたこと……」って思って嬉しかったですね。なんか、そんな雑談をしたりしましたけどね。

 

ーー その『さよならの理由』では、サビ前の「♪後悔さ〜せるの〜」の歌声がいい。

 

石川: ああ! うれしい〜! ありがとうございます。この 2曲を選んだのは、まず、『ひとりじめ』(作詞・作曲:天野滋)は、やっぱりね、天野(滋)さんが書いてくださった曲で、もちろん私も大好きな曲で、イントロがなくて「♪も〜っと」から始まるあのちょっとした緊張感があってね……。本当に、私にすごく合ってる曲で、歌ってても「合ってるんだな〜」みたいな感じがあるので、やっぱり『ひとりじめ』かなって。

 

石川: もうひとつの『さよならの理由』(作詞:竜 真知子、作曲:林哲司)は、私の友達で、40周年の時に初めてコンサートに来てくれた女の子の友達がね、私の曲を知らないんですよ、で、その『さよならの理由』も知らなくて、その時に初めて聴いたんですね。その子は、その1回しか聴いてないのに、「詞の内容は、こうこう、こうで、こうだったよね。もう、これ大好きでね!」って私に話したんですよ。「えっ! そんなに印象強かった?」って言ったら、「私、これすごく好きでね〜」って言うんですよ。「ああ、そうか〜……、これ、結構、印象に残ってるのかな」と思って、そういう方も多いのかな〜って……。昔のアルバムとかも持ってない人とかね、配信で初めて聴いたとかね、「そういう人もいるのかな」なんて思いながら、「じゃあ、これにしてみようかな」みたいな感じもありましたね。

 

ーー さらに、今回、同時に発売された「テイチクオンラインショップ 限定 BOX」には、昨年、2022年10月に行われたコンサート『石川ひとみ コンサート 2022 ~おかげさまで45年目に入っておりますがこれからもどうぞよろしくおねがいいたします~』のライブ DVD が付属しており、アンコールで歌われた名バラード『Tenderly』(作詞:田口俊、作曲:林哲司)が収録されているのも、往年のファンにとっては嬉しい。これも、林哲司 による曲で、『さよならの理由』と同じく、1983年に発売されたアルバム『プライベート』の最後に収録されている曲だ。

 

石川: あ、ホントですか! あ〜、よかったです〜。いい曲ですよね〜。

 

ーー 通算 8枚目で、病気療養前、NAV レコード / キャニオン・レコード 時代の最後のオリジナル・アルバムとなった『プライベート』は、本当によくできたアルバムで、名曲ばかりだ。同じく、昨年のコンサートで歌われ、「テイチクオンラインショップ 限定 BOX」の DVD に収録されている『置き忘れたメモリー』(作詞:宮原芽映、作曲:玉置浩二、編曲:鷺巣詩郎)や、17枚目のシングルでもあった『にわか雨』(作詞:岡田冨美子、作曲:西島三重子、編曲:松任谷正隆)も、このアルバムに収録されている。

 

石川: そうですね〜、私も『プライベート』は大好きなアルバムです。

 

ーー 「テイチクオンラインショップ 限定 BOX」の DVD には、昨年のコンサートで歌われた アンコールを含む全20曲のうち、15曲が収録されている。「一五一会」シリーズからの曲や、『まちぶせ』を含め NAV レコード / キャニオン・レコード 時代のシングル曲 4曲に、当時のアルバム収録曲から 3曲、そして、前作『わたしの毎日』収録曲 3曲に、今回、収録された『道化師のソネット』と、十分に楽しい内容となっているが、コンサートで歌われていた『三枚の写真』(作詞:松本隆、作曲:大野克夫)と『40回目のlove song』( 作詞:三浦徳子、作曲:山田直毅)が入っていないのが少し残念だ。コンサートの時、『三枚の写真』では歌詞を間違えて、ダブルアンコールで歌った『40回目のlove song』は、あまり出来がよくなかったからのようだ。

 

石川: あっはははは……(笑)、もうヘロヘロで〜……(笑)。私、コンサートになると、いろんなことやっちゃうんですよ〜。毎回、なんかあるんですよ、私。「なんで、ここまでやっちゃうかな〜」っていうようなことなんですけど、なので、あれはね……。

 

石川: でもね、私が「入れたくない」とかは全くないんですよ、あれが、私のそのままですから、自分ですもん。失敗も、それこそ『笑顔の花』じゃないですけど、失敗も笑える人になんなきゃいけないな〜って思ってて……(笑)。もう、よくあることですから……(笑)、と言って、それにかまけているわけではないんですけど、気をつけてはいるんですけど。だから、私は「全然、いいですよ〜」って言ってたんですけど、やっぱり、収録時間もあるし、そういうこともあるのかな〜って。

 

 

4 歌手デビュー45周年 〜「もう仕事できないと思ってました…」〜

 

 

ーー 1978年5月25日に、シングル『右向け右』で歌手デビューしてから、今年、2023年の5月で 45年となった。

 

石川: そうですね……、40周年より、45周年っていう方が、やっぱり「よくまあ、あの状態から来たな」っていうのが、結構、自分の中であって、いろんな節目節目にいろいろなことがあったので……、で、活動できないような時期もあったりとか、病気したりとか……。もう病気は、その時点でいろんなものを奪いますからね。そのあとも、すぐに「はいはい、歌いましょう」なんてできないわけですから……、状況もね、あとスタッフの人も……。やっぱり人間ひとりじゃ何もできないので……。っていうようなことを考えると、あの状態で、よく 45年までたどり着いたなと思うんですよ。

 

ーー デビューから約3年後の 1981年4月21日に発売された 10枚目のシングル(『プリンプリン物語』を除く)『まちぶせ』が大ヒットし、その後、『三枚の写真』(作詞:松本隆、作曲:大野克夫、編曲:葦沢聖吉)、『ひとりじめ』(作詞・作曲:天野滋、編曲:大谷和夫)、『君は輝いて天使にみえた』(作詞・作曲:天野滋、編曲:若草恵)、『にわか雨』(作詞:岡田冨美子、作曲:西島三重子、編曲:松任谷正隆)などの名曲を次々とリリースするとともに、『レッツゴーヤング』(NHK)、『クイズ・ドレミファドン!』(フジテレビ)などの司会も担当するなど順風満帆だった。しかし、1987年に、初めてのミュージカル『はだかの王様』の主演が決まっていたが、そのリハーサル中に、現代の医学では完治することが難しいと言われている 慢性B型肝炎を発症して入院、休業を余儀なくされた。

 

石川: そう、1年間、自宅療養して……、丸々、本当に自宅療養ですよ、行くとこって病院しかないですからね。で、自宅療養をして、まあ、復帰って言うか、少しずつ仕事を始めて……。でも、もう、あの頃のことを考えると、よく、まあ、今、この時点でここにいるなと思って……。

 

石川:(今でも)治ってないですよ、治らないんですよ。B型肝炎ウイルスは、今のところ、この医学では体からゼロにはならなくて、今もいるわけなんです。だから、定期的に血液の検査をやりながら、つきあいながら……っていう感じですかね〜、うん。

 

ーー 当時は、もう二度とライブで聴けないと思ったファンも少なくなかったと思う。

 

石川: ホント、そうですよね〜。あの時はもう、何も見えなくなっちゃって、もう、ポンってカットアウトされた感じで、ひとりぼっちになっちゃいましたからね……、仕事の面では。もう仕事できないと思ってました。

 

ーー 翌 1988年には、早くも活動を再開したが、病気と付き合いながらだったため、それまでのような活動はできなかったが、それでも、1989年には、アニメ『昆虫物語 みなしごハッチ』(フジテレビ)のリメイク版で主人公ハッチの声優と主題歌を担当。その後も、NHK 教育テレビ『母と子のテレビタイム(日曜版)』(ニャンちゅうワールド放送局)などにも出演、1999年には、子供向けの CD『HOME・MADE -ただいま-』をリリース。2004年からは、「BEGIN」が考案した楽器「一五一会」をフィーチャーしアルバム『みんなの一五一会』シリーズが 3作制作され、ベスト盤を含め 全5作が発売されている。ほかに、ファミリー向けの活動や講演活動なども行いながらも、ペースを落とした活動だった。

 

石川: だから、(45周年を考えると)短かったと言えば短いかもしれないし、あっという間かもしれないけど、よくよく振り返ると、それはいろんなことがあって、いろんな思いになって、もうそれこそ本当、苦しみ、悔しさの思いがいっぱいあって、それを考えると、とても長いのかもしれないし……。

 

石川: っていうふうに思ったら、やっぱり 45年っていうのはとても大きなもので、もう、こうなったらね、45年目を迎えられたんであれば、来年 46年だし、再来年を迎えられれば 47年ですし、「もう全部が周年だね」っていうふうな思いで……、本当に……。だって、1年 1年 もう結構貴重なんですよ。

 

石川: やっぱり、この年齢もあるし、あと、どんなことが起こるかわからない……。病気もあるし、またどんなふうになるかわかんないし、だから、今を大事にして、命も大事にして、お客様も元気でいていただかないとと思って、もう「お互いに、これからは元気で頑張っていけたらいいね」っていうような思いで、またこの 1年、この 45周年をやりたいなと思ってます……。だから(45周年というのは)、結構、大きいですよね。

 

ーー 2014年の12月からは、当時、東京、浅草にあったライブ・スペース「アミューズ カフェシアター」(Amuse Cafe & Theatre)で、1980年代の自身のオリジナル曲を中心にしたライブを定期的に行うようになった。それがきっかけとなり、デビュー 40周年となった 2018年6月20日には、1983年のアルバム『プライベート』以来、実に 35年ぶりとなる 9枚目のオリジナル・アルバム『わたしの毎日』をリリースし、ソロ・コンサートを開催するなど、35年ぶりに、本来の「歌手・石川ひとみ」としての活動を本格的に再開した。

 

石川: もちろん「歌いたい、歌いたい」っていうのは、ず〜っと続いてたんですけど、状況とか自分の立ち位置とか、置かれてる場面とかで、それができないことって結構あると思うんですけど、で、あの「アミューズ カフェシアター」でのライブは、もう以前からやりたいなと思ってたんですけど、なかなかそういう機会に恵まれず、「でも、やりたい!」って思った時に、うまいことタイミングが合ってできることになったので、あれからなんですよね。

 

石川: 「やっぱり、ライブを、小さいものでも何でも、もっともっと積極的にやっていこう、とにかくやっていこう」って思ったのと、「アミューズ カフェシアター」のステージっていうのは、それこそ(アルバム)『プライベート』じゃないけれども、いっぱいアルバムがあるんですけど、そういう中でもいい曲がいっぱいありまして、その曲たちも、今までさんざっぱら歌ってきたのかって思えばそうじゃないから、やっぱり大事にしたいなって……。せっかくのオリジナルの曲で、まあ、カバーもあったりするかもしれないけれども、せっかく歌ってきた歌たちなので、「もう一度、深呼吸してもらいたいな」っていう思いで……、あの「アミューズ カフェシアター」は、「かつての曲をもう一度、お客様の前で歌っていこう」っていう思いでやり始めて、あれがきっかけで 40周年を迎えられたんです。

 

ーー その「アミューズ カフェシアター」でのライブをきっかけに、40周年という節目で、新しくアルバムを作ろうと思った。

 

石川: そうですね、はい。

 

 

5 歌手デビューのきっかけ 〜「ウソつくのがイヤなんですよ…」〜

 

 

ーー 子どもの頃から、童謡とか唱歌が好きだったと言う。初めてレコードを買ったのは、小学校 4年生の時だった。

 

石川: そうです、自分のお小遣いでね。自分の意思で買ったのは、『黒ネコのタンゴ』(1969年、皆川おさむ)です……(笑)。

 

ーー その後は、歌謡曲をよく聴いていた。

 

石川: はい、天地真理さんが好きでした。もう(天地真理の人気が)すごかった時期ですからね、本当に。で、私も天地真理さん大好きで、レコードも全部持っていて……、『黒ネコのタンゴ』以降は、天地真理さんとか、南沙織さんとか、小柳ルミ子さんとかの歌をレコードでかけて、毎日、歌っていました。

 

石川: でね、天地真理さんってね、キーが高いんですよ。それで鍛えられたっていうか……(笑)、私、毎日、歌ってましたから 2時間ぐらいは、小学校の 4年からず〜っと東京に出てくるまで……。うん、なので、「ああいうのも良かったんだな〜」って、思ってますね。

 

石川: あと、その後は、フォークとかもすごく好きでしたね。あと、グループサウンズとかも。「かぐや姫」さんが大好きで、よく友達と歌ってたりとか、レコード買ったりとかしてたので、のちに、その(南)こうせつさんと何度かお会いしたりとか、レコーディングスタジオで私デビューしたてのときに見学させてもらったりとか、あと、NHKのラジオでね、レギュラー一緒にさせていただいたりとかっていう感じで嬉しかったですね。あと、カーペンターズとかも聴きましたし、今でも聴いたりしてますけど、やっぱり、日本のものが好きでしたね、ユーミンさんとか。

 

ーー 1972年3月、小学校 6年生の時、地元、名古屋の「CBC テレビ」が放送していた のど自慢番組『どんぐり音楽会』に出場した。

 

石川: はい、そうです。ただ、これには理由があって、私が「悔しい〜」と思ってしまう理由があって……、最初は、友達たちが「グループで『どんぐり音楽会』に出よう!」って言い始めて、そこに私も引っ張られて 合唱でね、4人か 5人で予選に行ったんですよ。で、予選に行って歌ったら、おっこっちゃったんですよ。

 

石川: で、みんなは「あ〜、おっこっちゃったね〜」なんて言いながら、帰りにデパートの屋上でみんなでパンケーキ……、あの頃はパンケーキって言わないか……、ホットケーキ食べたりなんかして帰ったんだけど、私としては、そんなこと友達には言いませんけど、「歌を歌ってね、予選で落ちて、笑ってなんかいられないよ!」って思って……(笑)。それで、「よし、私はひとりで出るぞ!」と思って、自分で応募したんです。それで、予選会に行って、受かって、本選のテレビに出たっていう。

 

ーー 本選のテレビでは、南沙織の『潮風のメロディ』(作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平)を歌って、見事、準優勝という結果になった。そもそも、そのころは、歌手になりたいと思っていたのだろうか?

 

石川: ううん、歌手は……、夢、小学生の淡〜い夢、憧れ。そんな真剣には……、子供としては真剣に思ってたと思うんだけど……、でも、憧れてましたね。

 

ーー とにかく歌うことが楽しかったので、中学生のころからは、「歌手になりたい」と思うようになっていった。

 

石川: そうですね〜。本人は、なりたいとは思ってるんだけど、でも、状況が……。ウチは普通の家庭でしたから、歌手なんて言葉を出せなかったし、両親の前で「歌手になりたい」なんて、とても言えやしない……(笑)。

 

石川: で、1回だけ、母と日向ぼっこしてる時かなんかに、「歌手になれたらいいな……」なんてボソッと言ったら、「なに言ってんの〜」って笑われてしまって……、もうね、会話にならない、なんにもないわけ。あっ、「これは、言っちゃいけないワードなんだな」と思って、それ以来、全然、言わなかったんですけど……。

 

ーー 「歌手になりたい」とは言えないような家庭環境だったが、それでも、1975年、高校 1年生の11月から、『渡辺プロダクション』が主宰する養成スクール『東京音楽学院 名古屋校』に通い始めた。

 

石川: 高校に入って学院(東京音楽学院 名古屋校)に行くまでのことも、上手にね、母も誘って……。学院(東京音楽学院 名古屋校)があったのが、文化センターもある駅でね、文化センターの看板の下に渡辺プロの名古屋校の看板があって、「一緒に行かない? で、お母さんは詩吟とか習えば〜」って言ったら、詩吟とかそういう芸事が好きだから「いいね〜」ってなって、私がね「おなかから声出すの健康にもいいよ」とか言いながら……(笑)、それでお母さんも「そうだね〜」なんて。それで、母と一緒に通うようになったんです、母は文化センターで、私は学院(東京音楽学院 名古屋校)に。で、最初、「作戦成功!」って、その時は思ったんだけど、でも、結局、1年も行ってない……、半年ぐらいかな、月謝が上がっちゃったんで「歌手になるわけじゃあるまいし、もうやめなさい」って言われてやめてしまったんです。

 

ーー 『渡辺プロダクション』が主宰する養成スクール『東京音楽学院 名古屋校』は、半年ほどで辞めてしまったが、高校 2年生の時に、たまたま新聞で見つけた『渡辺プロダクション』の新人歌手オーディションに応募した。当時、『渡辺プロダクション』と言えば、クレイジーキャッツ、ザ・ドリフターズ、中尾ミエ、伊東ゆかり、園まり、沢田研二、布施明、小柳ルミ子、天地真理、アグネス・チャン、キャンディーズ、太田裕美 ……ら、錚々たるメンバーが所属していて、石川ひとみが好きだった 天地真理、小柳ルミ子、アグネス・チャン らも所属しているプロダクションだった。その新人歌手オーディションに応募したことで、歌手への道が開けていった。

 

石川: はい、『渡辺プロダクション』が名古屋でやった新人オーディションっていうのを受けましたね。で、そこで私を含めて何人か受かったんですけど、その人たちに全員に「『君こそスターだ!』に出ませんか?」ってお誘いがあったんです。

 

ーー オーディション番組『君こそスターだ!』は、当時、日本テレビの『スター誕生!』に対抗する番組として、フジテレビで放送されていた。そのオーディション番組への出場を持ちかけられたが、当時、高校 2年生で、学校が厳しかったため、一度は出場を断った。

 

石川: はい。で、その時、私は「(『君こそスターだ!』には)出ません」って言ったんですけど、「名古屋では映って(放送されて)いませんよ」って言われて、結局、それで出たんですよ。まあ、でも、学校にウソつくのイヤなんで……、私、ウソつくのがイヤなんですよ、「うしろめたい」っていうのがまずイヤで、だから、先生にも言って、そしたら、校長先生にも呼ばれてお話をすることになって、そしたら許してくださって、出場することになったんです。でも「学校では、絶対、なんにも言っちゃいけないよ」って言われて、その約束も破ることなく。

 

ーー そして、1976年、高校 2年生の時、フジテレビ系のオーディション番組『君こそスターだ!』に出場し、見事、7週 連続勝ち抜きで、第20回のグランドチャンピオンとなった。その時、番組では、岩崎宏美の『ドリーム』(1976年、作詞:阿久悠、作曲・編曲:筒美京平)を歌った。

 

石川: はい、1週目ね。私、岩崎宏美さん大好きだから、1週目と7週目は、岩崎宏美さんの曲を歌ったんです。1週目が『ドリーム』で、7週目が『想い出の樹の下で』(1977年、作詞:阿久悠、作曲・編曲:筒美京平)を歌ったんです。でもね……、あとの 5曲は記憶にないんです……(笑)。ひどいでしょ……(笑)、「誰か知らないかな?」って思うくらい……(笑)。あの当時なんで、ウチ、名古屋だからビデオ録れないじゃない……、そもそもビデオがウチにはなかったし。もうね、フジテレビにも、そんなもうね、テープも残ってないだろうし……、もう、誰か知らないかな〜って……(笑)。なに歌ったんだろ……、岩崎宏美さんだけ覚えてる……。なんなんでしょう……、いや〜もう、自分でも信じられない……(笑)。

 

 

6 『まちぶせ』の大ヒット 〜「この曲をリリースしてやめよう…」〜

 

 

ーー 『君こそスターだ!』でグランドチャンピオンになったことで、『渡辺プロダクション』への所属が決まり、高校卒業を待って上京、トントン拍子で、その年の 5月に歌手デビューした。

 

石川: そうです。あっ、でも、卒業した時も、上京する時も、デビューは決まってなかったですよ……、って言うか、聞いてなかったです。3月に卒業式があって、3日後ぐらいに上京して、で、(渡辺プロダクションの)寮に入りました。

 

石川: で、ちょっとレッスンが始まったんだけども、そのうち、なんだか急に慌ただしくなってきて、そしたら、「5月にデビューするよ」ってことを聞いて、「へっ!」と思ってびっくりしちゃって……(笑)。だって、3月に上京した時点で、私、デビュー知らなかったんですよ。

 

石川: で、5月25日のデビュー日までは、4月しかないじゃないですか、1ヶ月ちょっとしかないでしょ、その間に、レコーディング、ジャケットの撮影をしてってことですよ。でも、私、レコーディングした時も、デビュー曲って知らなかったし、ジャケット撮った写真もジャケットになるなんて知らなかったし……、ヘンでしょ、私。本当に変わってるんです。スゴイですよね……、だって、私の心の準備期間がないんですよ。どうなんですかね〜、教えなかったのかな〜、わかんないですけどね〜、うん。

 

ーー 高校を卒業したその年、1978年(昭和53年)5月25日、18歳の時に、「'78 歌謡界最大の輝く瞳(ひとみ)」のキャッチフレーズで、キャニオン NAV レコード から、シングル『右向け右』(作詞:三浦徳子、作曲:宮川泰、編曲:竜崎孝路)で歌手デビューした。

 

ーー そして、同年 9月に発売された 2nd シングル『くるみ割り人形』(作詞:三浦徳子、作曲:馬飼野康二、編曲:大村雅朗)で、『第9回 日本歌謡大賞』ノミネート、『第7回 FNS歌謡祭・音楽大賞』優秀新人賞、ニッポン放送主催の『第8回 銀座音楽祭』大衆賞、文化放送主催の『第11回 新宿音楽祭』銀賞、ラジオ日本主催の『第5回 横浜音楽祭』新人賞など、新人賞レースで各賞を受賞。アイドル歌手としては、ピンク・レディーが圧倒的な人気を誇った当時、世良公則&ツイスト、サザンオールスターズ、渡辺真知子、さとう宗幸 らニューミュージック系の新人アーティストが注目を浴びる中、ルックスも実力も兼ね備えた新人アイドル歌手として人気となった。

 

ーー また、翌 1979年の 4月からは、NHKの人形劇『プリンプリン物語』で、主役の「プリンセス・プリンプリン」の声と主題歌を担当。その後、『ハート通信』(作詞:松本隆、作曲:吉田拓郎、編曲:馬飼野康二)、『ミス・ファイン』(作詞:康珍化、作曲:伊藤薫、編曲:井上鑑)、『秋が燃える』(作詞:岡田冨美子、作曲:佐瀬寿一、編曲:渡辺茂樹)、『夢番地一丁目』(作詞:山上路夫、作曲:芳野藤丸、編曲:渡辺茂樹)などをリリースするが、デビュー前、自身が思い描いていた「たくさんの人が知っているヒット曲を出す」という目標には到達できていなかった。

 

ーー そんな中、デビューして 3年目、1981年4月21日に発売となった 10枚目のシングル(『プリンプリン物語』を除く)『まちぶせ』(作詞・作曲:荒井由実、編曲:松任谷正隆)を最後に、歌手をやめようと考えていた。

 

石川: うん。でも、ちょっと違うのが、「この曲が売れなかったらやめよう」じゃなくて、「この曲をリリースしてやめよう」と思ったの。だから、「それがヒットする」とかっていう言葉は、もう心の中になくて、もう、とにかく「この曲で終わり」っていう気持ちで……、気持ちというか、そういう決心だったんですよ。

 

石川: その頃、レギュラー(番組)とかは、たくさんやらせていただいてたんですけど、それが、歌となると、思っていたような大きな結果も出ていなくて、「イメージしていた感覚とちょっと違うな〜」って思っていて……。で、上京する時にも、両親には「4年間だけ東京で社会勉強という形でチャレンジします」って約束をして上京したんですよ。その 4年目に入って、自分で描いていた「たくさんの人が知っているヒット曲のある歌手」という姿とは違っていて、で、「このままの状態で、この先、歩いていくのもどうなのかな……」と思っていて……。で、次の曲でちょうど 4年目に入るから、一度、歌の世界に区切りをつけて、もう一度、自分の人生を見つめ直してみようと思っていたんです。そういうことを考えていた時に、次の曲の候補として、この『まちぶせ』が出てきたんです。

 

石川: あの……、なので、「(『まちぶせ』が)売れたからいるんだね」とか、「(『まちぶせ』が)ヒットしたからいるんだね」っていう感じに思われてしまうかもしれないんですけど……、まあ、結局は、そうなんですけども、やっぱり、やめられなかったんですけど……、でも、その時の決心は、本当に「この曲で、この曲が最後だったならば、私は後悔ない!」と思ったので……。それぐらい『まちぶせ』が好きだったから、ほんっとに素敵な曲だと思ったので、「この曲だったら、絶対に後悔ないな〜」って……、うん。

 

ーー 石川ひとみが歌った『まちぶせ』は、ロングヒットとなり、自身、初となる『オリコン』週間シングル・チャートで TOP 10 入りを果たし、年末の『第32回 NHK紅白歌合戦』にも初出場。そして、自身が思い描いていた「たくさんの人が知っているヒット曲のある歌手」となった。

 

ーー 石川ひとみの代表曲となり、今でも歌い継がれている『まちぶせ』は、今となっては、石川ひとみがオリジナルだと思っている人も少なくないが、もともとは、同じ事務所『渡辺プロダクション』の先輩歌手で、1976年にデビューした 三木聖子 のデビュー曲だった。実は、石川ひとみも、『渡辺プロダクション』が主宰する養成スクール『東京音楽学院 名古屋校』に通っていた高校生の時、この『まちぶせ』を練習曲として歌っていた。

 

石川: あっ、それはね、学院(東京音楽学院 名古屋校)でね。学院(東京音楽学院 名古屋校)は、その渡辺プロの新人の人の曲は必ずレッスンに入ってくるんです。プロモーションも入ってたかもしれないけど……(笑)、必ず入るんですね。その時、たまたま私のレッスンの時に、きっと三木聖子さんがデビューなさって、「今日から、この歌を練習するね」って教えてもらったのが『まちぶせ』だったんですね。で、初めてそこで『まちぶせ』の存在を知って、1回レッスンした時に、「うわっ、なんていい曲なんだろう」っていう印象で、大好きでした。すぐ、レコードも買いました。

 

ーー 高校生の頃から大好きだった曲が、デビュー3年目、10作目のシングルになった。

 

石川: たぶん、キャニオンの(ディレクターの)長岡(和弘)さんが選んできたんだと思うんですけど……、ま、次のシングルってことで候補はあるわけです、オリジナルを作ってもらってたりしてね、そういうのが何曲かあった中の 1曲が、この『まちぶせ』だったんですね。

 

石川: で、私は「この曲、知ってますし、私、レコードも持ってるし、歌詞見ないでも歌えますよ」って言ったんですよ、その時に。で、その時に、さっき話したみたいに「この曲だったら、最後にしても、絶対に後悔ないな」と思ったので、他の曲じゃなくて「この曲が歌いたい」って(ディレクターの)長岡(和弘)さんたちにお話して、決めてもらったっていう……、うん。でも、やっぱり、(カバーということで)いろんな意見があるからね、反対が入りそうだったみたいですけど、でも、(ディレクターの)長岡(和弘)さんたちや私の意見が通って、歌わせてもらってよかったです。

 

ーー ちなみに、『まちぶせ』の次にリリースされロングヒットした 石川ひとみの 11枚目のシングル『三枚の写真』(作詞:松本隆、作曲:大野克夫、編曲:葦沢聖吉)も、三木聖子 のカバーだ。

 

 

7 変わらない唯一無二の歌声 〜「こんなこと言うの初めてなんですけど…」〜

 

 

ーー 今後、どういう活動をしていきたいのかを聞いた。

 

石川: いや、とくに変わったことはないんですけど……、歌は、確実に、ライブ、コンサートなどなどは、もちろん、もっとやっていきたいですね……。やっていきたいし、そういうふうにしたいと思ってますね。

 

石川: あとは、プリンプリン(『プリンプリン物語』)や ハッチ(『みなしごハッチ』)とか声のお仕事もやってきたので、続けたいですね。そういうのも楽しかったんですよ。ハッチなんて、男の子の声よ。で、プリンプリンも楽しくて……、好きです。楽しい。私は楽しい。いろんな声出したりとか、いろんなシーンがあったりとかして、自分がこの顔でお芝居するわけじゃなくて、その人形だったりアニメだったりがお芝居っていうか物語を作っていくので、そこに自分の声が出てくるって、すごい面白いし、楽しいし、やってるときも楽しかったです。なんか、ああいう出会いもやっぱり大切にしたいなと思うので、そういう声の仕事もいいな〜と思ったりとか……、もちろん、歌は基本ですよ、歌が基本にあって、そういうのもいいな〜って思います。

 

ーー 2023年10月1日には、東京、新橋の『ニッショーホール』で、『石川ひとみデビュー45周年コンサート』が予定されている。

 

石川: そうですね、新旧取り混ぜていきたいですね……、やっぱり、前の曲だっていい曲いっぱいありますしね。でも、今回のアルバムは、ばっちり歌いたいですし、はい、(その前のアルバム)『わたしの毎日』もありますでしょ……、全部、大切に歌っていきたいですね。

 

ーー ところで、石川ひとみの歌声は、耳にすると一瞬でわかる。透明感があって、伸びやかで、キラキラしていて、キュート。チカラの抜けた豊かでなめらかな声の響きと、安定感のある歌唱で、言葉がよく伝わってくる。こんな歌声の歌手は、後にも先にも、石川ひとみしかいない。その、変わらない、唯一無二の魅力的な歌声のことを、自分ではどう思っているのだろう?

 

石川: え〜っ! 私は、まずは、もうデビューした頃は「個性のない声だな〜」とか「特徴のない声だな〜」とかってずっと思ってました。なのにね、プリンプリン(『プリンプリン物語』)で選ばれて、決まって、「はあ〜っ……?」って思ってて……。でも、なんか自分の歌の声とかは、なんか……、こんなこと言うの初めてなんですけど、「もっと個性のある声だったら……」とかって思ってたんです……、うん。

 

ーー あんなに特徴的なのに、「特徴のない声」と思っていたとは驚きだ。自分では、なかなかわからないようだ。

 

石川: もともと、高校生のころも、(自分の声が)とくに好きも嫌いもなかった。「(声が)いい」とも思ったことなかったし、とにかく「もっと磨きたい」って思ってました。ただ、とにかく「歌が好きだ」っていうので、歌はどんどんどんどん歌ってましたね。それでね……、だんだんと、年々こうやって、今の 45周年に至るまでに、途中で、ちら、ほらっとね、おっしゃってくれたみたいに、「ひとみの声はすぐわかるよ!」って言われて……。

 

ーー すぐにわかる。

 

石川: あっ、そうなんですか〜……(笑)、え〜っ、そうなんですか〜……? だから、最初のころは、ホントそんな感じで、たまに、「ひとみの声はすぐわかるよ〜」って言われたり、スタッフの人からも言われたりして、「え〜っ?」って思ってて……。そのあと、他のところでも、タクシーに乗ってたりした時にも言われて、「え〜っ? わかります〜?」って思ってましたけど……(笑)。

 

ーー デビュー曲の『右向け右』のころから、「こんな綺麗で伸びやかでキラキラした歌声の人がいるんだ!」と感じた人は少なくないと思う。唯一無二で、その魅力的な歌声は今でも変わらない。

 

石川: え〜っ! ホントですか〜! え〜っ、うれしい〜。あ〜、そうですか〜! じゃあ、これからもっとキープしていかないと……(笑)。やっぱり、もう、今は目標としてはね、「ずっとこれからも歌っていきたい」、「ライブをたくさんやりたい」っていうことなんですけど、やっぱり、この声を、今となってはキープしていきたいっていうのはありますね。

(取材日:2023年7月10日 / 取材・文:西山 寧)

 
 
 
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