帰り道

君がのってる最終電車
僕はいそいそ停留所まで
君をむかえに いつものように
心うきうき気はほがら
おーい おーいと手をふりながら
かけ足3歩で胸の中 さあ帰ろう

静まりかえった商店街で
君は小脇に買い物袋
にんじん玉ねぎじゃがいもたくさん
「今夜のお料理何がいい?」なんて
「うでをめいっぱいふるってさ うまいやつ
たのむよ 何でもいいんだ君の得意なやつをね」
「はい、はい わかりました だんな様」
なんて君はおどけてみせる

若い僕と幼い君だから
先のことなど考えまい
大切なのは今生きていること
大切なのはしあわせだということ
人の心なんてうわきなものだから
うわきなものだから
いつまでこの道帰れるかね
少し心配だけれど

やがて夜は深まり 二人の長い影は
月明かりの下で 笑っていた
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