わたしの町

わたしの町は ひなびた海辺
網ひく舟の 小さな港
旅の宿した ある人と
燃えるいさり火 恋をして
訳も分からず 飛び出した
わたしの町は 近くて遠い
帰りたいけど 帰れない町

わたしの町は 潮騒日暮れ
波ひく砂に 夕餉の煙
手紙幾度も 書きかけて
いつも出せずに 破り捨て
みんな私を 忘れたか
わたしの町は 近くて遠い
帰りたいけど 帰れない町

白いはまなす 咲いたやら
春の祭りも 近い頃
泪こらえて 空を見る
わたしの町は 近くて遠い
帰りたいけど 帰れない町
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