音無川

桜の蕾が 淡雪とかし
空に咲く日も あとわずか
町を流れる 音無川の
岸にたたずみ 灯をともす
赤提灯の おんなにも
聞かせてください 春の音

小さな坂道 つまずきながら
生きるわたしの 通り路
涙こぼした 音無川に
顔がゆれます あの人の
惚れてはだめと ひとり言
見させてください 春の夢

最終電車の あかりの帯が
笛を鳴らして 遠ざかる
明日を信じた 音無川に
いつかお酒を 流す日は
すこしでいいの 私にも
倖せください 春の風
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